営業事務とは、一言でいえば「営業担当の秘書」のような仕事です。
営業組織の管理業務を行ったり、営業担当のフォローのために資料作成、在庫管理、顧客対応を行ったりと会社の利益向上の為のバックサポートを行います。
会社に欠かせない重要な職業ではありますが、具体的にどんな仕事なのか、転職するにはどんなスキルが求められるのかといった情報はあまり知られていないのではないでしょうか。
そこで今回は、営業事務の転職に関して詳しくご説明したいと思います。
仕事内容や転職に必要なスキルや資格などが分かる内容となっておりますので、是非ご覧ください。
営業事務の仕事内容
冒頭でも記載したように基本的には営業担当の秘書のような、営業に関わる事務関係を全般的に行うことになります。
会社によっても異なりますが、具体的には、営業組織の管理業務、商品の発注・在庫管理、資料作成、顧客対応(来客応対・電話対応など)などが主な仕事となります。
比較的女性が多く、内勤業務で残業が少ない傾向があり、最近ではリモートワークとして対応する企業もあるようです。
このような背景から、営業事務は営業と比較して勤務環境がいいことが多く、働きやすいと言われることも多いでしょう。
収入
厚生労働省の「職業情報提供サイト」が公開している営業事務の平均収入は年収452.3万円です。
令和2年版の一般労働者の賃金平均が307.7万円(年収)となっていますので、比較的高額収入と言えるのではないでしょうか。
さらに、求人情報誌の応募情報から平均を取ったところアルバイト、派遣の場合の収入は以下の通りでした。
- アルバイト・パート:1,200円~2,000円
- 派遣:1,500円~2,000円
若干、派遣の方が基準が高い傾向にありますが、どちらも求めるスキルや経験があれば、それに応じて時給がアップされるようです。
営業事務への転職の条件
営業事務に転職する条件にはどのようなものがあるのでしょうか。
求人広告に書かれている応募条件を調べたところ、以下の8項目が特に求められる条件となっています。
- 高卒以上、未経験者OK
- Microsoft Officeを使いこなすことができる(Excel、Accessスキルがあれ尚良し)
- 取り扱い商品に関する知識保持者または業務経験者(パソコンメーカーであれば、パソコン知識がある、関連業務についたことがあるなど)
- ビジネス文書、ビジネスメール作成ができる
- TOEIC600点以上・留学経験者(海外取引が多い場合)
- 営業・事務経験者
- カスタマーセンター経験者
- 明るい・調整力のある人
全体的に未経験OKという会社が多いですが、一般的なPCスキルがあり、明るくコミュニケーション能力の高い人材がより求められるようです。
また、営業で取り扱う商品に関する知識、業務経験、海外取引が多ければ英語力など、それぞれの会社が取り扱う商品や取引先の傾向にあわせたスキルを持っているほど優遇されやすい傾向があると言えます。
営業事務への転職は難しい?
営業事務は、未経験OKでの募集が多く、営業や事務の未経験者でも転職は可能です。
転職の難易度としては高くはないのではないでしょう。ただし、求める人材であると判断されなければ当然採用されません。
その会社が提示した転職条件に当てはまる、または、次に記載している「転職する際に持っているといい資格」を所持しているといったアピールポイントを持っていた方がいいでしょう。
まずはアルバイト・パート、派遣から挑んでみるというのも一つの手だと思います。
転職する際に持っているといい資格
営業事務の転職に役立つ資格をいくつかご紹介します。
以下の資格は一例ですが、Microsoft Office関連やPCスキル、ビジネス技術や語学力を示すことができる資格が役立つ傾向にあるようです。
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- ビジネスマナー検定、ビジネス文書検定、秘書検定
- TOEIC
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
Word、Excel、PowerPoint、AccessなどMicrosoft Office製品の利用スキルを証明することができる資格試験です。
Office製品には2016、2019などのバージョンがありますが、買うバージョンごと、製品ごとに試験が設けられており、一般、上級(エキスパート)の2つのレベルが用意されています。
年齢、学歴問わず誰でも受験が可能(未成年の場合は、親の同意が必要)で毎月1~2回の全国一斉試験、ほぼ毎日受験可能な随時試験の2通りから受験が可能です。
受験料は一般が税込10,780円、上級(エキスパート)が税込12,980円、上級(エキスパート)の内、Part1、Part2と分かれているものに関しては各税込10,780円となっています。
特にExcelで四則演算や基礎関数。Accessでマクロ作成、クエリ編集ができるスキルを持っていると優遇される可能性があります。
ビジネスマナー検定、ビジネス文書検定、秘書検定
ビジネスマナー検定・ビジネス文書検定、秘書検定は、ビジネスマンとしての基本的なマナーや文章能力、秘書としての素質のレベルを証明することができる資格試験です。
公益財団法人 実務技能検定協会が提供しており、誰でも受験できます。
秘書検定の2級、3級のみ年3回、他試験は年に2回受験が行われています。
TOEIC(Listening & Reading Test)
教育試験サービス(ETS)が提供する英語を読み聞きする能力を証明するための資格試験です。
通常、年10回試験が行われており、受験料は税込み7,810円で誰でも受験できます。
履歴書に記載してアピールするためには600点以上からと言われており、求人条件から見ても600点~800点であればアピールポイントとして活用できそうです。
営業事務に転職する際に気を付けること
営業事務として転職した場合に気を付けたほうがいいことがいくつかあります。
転職後に失敗してしまわないように、あらかじめ抑えておくことをおすすめします。
- パソコンスキルは必須
- 明るく接しやすい対応を心がける
- 正確かつ迅速な業務処理が求められる
パソコンスキルは必須
営業事務のほとんどはデスクワークです。
営業資料の作成、商品発注・在庫管理などでWord、Excel、プレゼン資料作成でPowerPointを使う機会が多いのでOffice関連を主としたPC操作のスキルが必須となります。
そのため、あまり得意ではないという方は、入社前に勉強したり、MOSを取得するなどの入社前準備を行っておきましょう。
明るく接しやすい対応を心がける
営業担当は、外回りや飛び込み、顧客のアフターフォローなど、日々過酷な業務を行っています。
そのため、ストレスを与えたり、モチベーションを下げてしまったりといったことがないように、接しやすい明るい態度で対応するように心がけましょう。
また、来客・入電などで顧客対応を行う機会も多くあります。
その際には、誤った対応や不手際で営業担当の負担が増えてしまわないように気を付けて対応してください。
正確かつ迅速な業務処理が求められる
営業事務側で遅延やミスがおこるとダイレクトに営業担当の業務進行に影響してしまいます。
スピーディかつ正確に業務進行を行うことができるように、行わなければいけない業務や進行状況を正しく迅速に判断できる能力が必要です。
ToDoリストを作るなどして滞りのないようにスケジュール管理を行いましょう。
営業事務で働くメリット
営業事務として働くメリットには以下のようなものがあります。
一つずつ見ていきましょう。
- いろいろなスキルを向上できる
- 残業が少ない
- 未経験からでも挑戦できる
いろいろなスキルを向上できる
営業事務には、事務処理能力、PCスキル、コミュニケーション能力など多くの能力が必要とされます。
そのため、毎日業務を行うだけで全ての能力が向上し、自然とスキルアップを計ることができるでしょう。
さらに、資格手当制度を設けている会社であれば、収入アップにも繋がります。
実力的にも金銭的にもアップグレードできるというのは、かなり大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
残業が少ない
会社によっても異なりますが、営業事務は残業が少ない傾向にあります。
そのため、プライベートとのメリハリがつきやすく、休日を楽しんだり、ストレスを解消したりと体調管理を整えやすい職業だと言えます。
定時で帰宅しやすいため、家事や育児が忙しいなどの理由で長時間勤務が難しい女性の方々にも人気の職業です。
未経験からでも挑戦できる
「転職の条件」でも記述したように、営業事務の求人条件には「未経験OK」と書かれたものが散見されます。
その理由として、学歴や職歴以前にやる気や意気込みを重視する傾向があるからではないかと考えられます。
事務処理能力、PCスキル、コミュニケーション能力など多くのスキル向上に繋がる職業であるにもかかわらず、転職のハードルが低めに設定されているのはメリットでしょう。
まとめ
営業事務というと一般事務に比べて、転職が難しそう、高度なスキルが必要そうなど難しい職業として敬遠されがちな部分があります。
しかし、事務スキルを生かしつつ、営業に関する知識、情報を習得することができるので、一般事務経験の豊富な方にこそ挑戦していただきたい職業です。
接客業、コールセンターなど人をサポートする業務の経験がある、コミュニケーション能力には自信があるといった方にもおすすめです。
ご興味のある方は、是非、営業事務への転職を試してみてください。