印刷業界と言えば、「新聞」「チラシ」「はがき」「手紙」など私たちの生活で身近なものになっています。
しかし、IT技術の発展によって企業が紙媒体を使用する割合が減りつつあります。
そのような現状でも未だ多くの企業や家庭で印刷物を扱っており、需要が多いのも事実です。
今回はそんな印刷業界の営業職として転職を考えている方に向けて、印刷業界の営業職の仕事内容や求人応募をする際の注意点について解説していきます。
印刷業とは
印刷業とは、主に紙媒体の発行を手掛けている企業のことですが、印刷会社は「大日本印刷」などの最大手から中小零細企業まで多くの企業で印刷業がおり、会社ごとの従業員数や導入している機械によって対応できる業務の範囲が異なります。
規模によってその業務内容は大きく異なります。また、日本の印刷関連の業種は「印刷・同関連業」として「印刷業」「製版業」「製本業・印刷加工業」「印刷関連サービス業」などに分かれています。
また、「印刷業」の中でもオフセット印刷を行う”オフセット印刷業”オフセット以外のスクリーン印刷や凸版や凹版などを行う”オフセット以外の紙印刷業”その他の”紙以外の印刷業”の3つの種類に分かれています。
印刷会社の仕事内容とは
冒頭でも記述したように、印刷業界では「新聞」や「チラシ」、「手紙」に「はがき」などの紙媒体を発行することが企業としての業務ですが、その中でも印刷会社内の業務は大きく分けると「営業職」「印刷オペレーター」「工務管理」「製版」「紙加工」「検品・出荷」の6つに分けられます。
それでは、印刷業での営業職に関する求人情報について解説する前に、まずは印刷業界の企業ではどのような業務を行っているのか解説していきます。
営業職
印刷業界では作業員と並んで多く求人募集がかけられている業務であり、既存の顧客との打ち合わせや新規の顧客を獲得する為にアプローチをかけたり、訪問して商談を行います。
営業職として業務を行う為には自社でどのような対応ができるのか、どのような強みがあるのかを適格に伝えることはもちろん、業界全体の知識も必要となります。
印刷業界では既存顧客からの仕事の依頼が多くありますが、企業の売上や経営を安定させるには営業職が仕事を獲得することは必要不可欠となります。
印刷オペレーター
印刷オペレーターは実際に印刷業務を行う人のことを言います。
先ほど記述したように、営業職と同様、多くの求人募集がかけられていますが、実際の作業内容は求人募集をしている企業によって異なります。
基本的な仕事内容としては、印刷をする為の機械のインクが切れていないか、正常に動いているかの点検や作業スケジュールの確認を行います。
作業が始まった時にはカラー印刷の場合の色合いが正しく印刷されているか、仕上がりに問題が無いかの確認を行います。
作業が終わった後には機械に不備や故障は無いかの点検や清掃まで行います。
印刷オペレーターの業務には業界の知識や最新の機械が導入されたときの適応力が必要となりますが、未経験の求人募集がされていることが多く、今まで印刷業に携わっていない方でも気軽に求人応募をすることが出来るのです。
工務管理
工務管理とは、主に全体的な作業のスケジュール管理や協力会社や外注への依頼や指示などを行います。
印刷会社の顧客には雑誌や新聞などの広告・メディアが多く、印刷を完了させる納期が厳しく定められていることがほとんどです。
印刷の納品日を守らなければ、顧客からの信用を失い仕事の依頼が無くなってしまう可能性もあります。
そのため、工務管理の役割は非常に重要であり、高い管理能力が必要とされるのです。
製版
最近では「製版」自体のフローを無くしている企業も多く、激減している傾向にありますが、版が必要な印刷機を使う場合にはその版を作る製版の工程が必要となるのです。
紙加工
紙を指定の大きさや形の印刷物を作る工程であり、企業によって外注に依頼することもありますが、コストを極力抑える為に自社で行っている企業も未だ多く存在します。
検品・出荷
完成した製品を顧客に引き渡す前に製品に不備やミスが無いかを確認します。
印刷業において不備のある製品を顧客に対して納品をしてしまうことで、顧客からの信頼を失ってしまうだけでなく、一度納品した製品の回収や正しく作り直す為に再度の作業が必要となるため、多大な時間とコストが必要となります。
そのため、印刷業などの製品を扱う業界では検品を行ってからの出荷が必須となります。
印刷業界の現状
2022年となった現在では、IT技術の発展によってデジタル化が進んでおり、印刷業界の市場が縮小しつつあります。
特にインターネットの普及やSNSを活用する消費者が増えたことで、新聞を取らない家庭が増えたり、紙媒体の雑誌を読まない人が増えたということが大きなことで、広告会社もインターネット上にチラシや広告を掲載することが増え、印刷業界への依頼が減りつつありました。
しかし、近年では印刷業界にもデジタル化が取り入れられており、IT技術を活用した最新の印刷技術も増えているのです。
有名な印刷業の会社
冒頭でも記述したように、印刷業界には大手から中小零細企業を併せて多くの企業が事業を営んでいます。
中には私たちが普段生活している際の雑誌や広告を印刷しており、社名を見たことがある企業もあるでしょう。
それでは、印刷業界で”売上高&シェアランキングのTop10社”をご紹介していきます。
- 凸版印刷
- 大日本印刷
- トッパン・フォームズ
- NISSHA
- 共同印刷
- 日本創発グループ
- 朝日印刷
- 共立印刷
- 廣済堂
- 竹田印刷
参考サイト:業界動向SERCH.COM |
現在の印刷業界では、上位2社の「凸版印刷」と「大日本印刷」が業界の中でも最大手となっており、名前だけでも聞いたことがあるという方も少なくないでしょう。
印刷業界の営業職ではどのような求人募集が出されているのか
ここまでで印刷業界の仕事内容や現状について解説したところで、次に実際に印刷業界関連の営業職ではどのような求人募集がされているのかについて解説していきます。
印刷業界関連の営業職は全国各地で求人募集がされており、地域ごとの求人募集によってその業務内容は異なります。
そのため、今回は代表例として、東京都内で求人募集されている印刷関連の営業職の仕事内容についてご紹介していきます。
印刷領域コンサルティング営業
さまざまな印刷会社や印刷物がある中で、印刷物の適正な価格が分かりづらくなっているため、顧客に対して印刷物の適正な価格などに関するコンサルティングを行う営業活動です。
多くの業界の営業職で募集が出されているコンサルティング営業ですが、最近では印刷業界でもコンサルティング営業の求人募集が掲載されることが増えています。
印刷機器メーカーでの営業
印刷業界の営業職でよく見る求人募集であり、商業印刷企業やラベル・パッケージ印刷企業に向けて自社で扱っている印刷機器を販売する営業です。
企業によって印刷現場の広さや従業員、行っている印刷業務が異なります。
そのため、現状の業務をこなすには適切な機器を導入すべきであり、中には古い機器を使い続けている企業もあるので、業務の効率を向上させる為により適した製品を販売する業務です。
出版社へのデジタル展開営業
出版社や電子書籍取次会社との営業対応を行い、出版社と連動した販売促進方法を提案する業務です。
ポスターやパッケージへの印刷に関する営業
企業で使用するポスターやパッケージに使用する印刷物の営業を行う業務であり、印刷会社やクライアント先へ訪問をして印刷物に関するヒアリングやイメージなどを擦り合わせて発行にまで繋げる業務を行います。
印刷業界の求人に応募する際の注意点とは
実際に掲載されている求人にも注意点がいくつか記載されているケースもあります。
そのため、求人に応募する前に注意すべき点についていくつか紹介していきます。
未経験者でも求人応募が可能か
営業職の求人募集では「未経験歓迎」とされていることが多くありますが、印刷業界ではその専門性の高さから、経験者で無ければ求人応募ができないというケースもあります。
そのため、未経験者の方で印刷業界の営業職に転職を考えている方は、そもそも未経験者でも求人応募が可能なのかという点をよく確認しておくべきなのです。
また、中には業界経験者の方でも「印刷業界〇年以上経験の方のみ」などと記載されていることがあるため、経験者の方でも年数が浅いという人は注意しておく必要があります。
誰を対象に営業活動を行うのか
印刷業界の営業職では”誰に対して営業活動を行うのか”によってその業務内容は大きく異なります。
営業職の求人募集を見る時には応募先の企業だけを調べて終わってしまう方が多くいますが、実は営業職の求人を探す際には”どんな業務をするのか”という点だけではなく、”誰(どんな企業)に対して営業活動をするのか”という点にも注目しておくべきなのです。
そのため、ある程度求人応募をする企業の候補が決まり次第、その企業の顧客についても調べておくと良いでしょう。
募集している企業や顧客の将来性
印刷業界でもIT技術を導入する企業が増えてはいるものの、未だデジタル化が進んでいない企業も多くあり、中には景気が回復していない企業も多くあります。
現状では安定している企業に求人応募をしたとしても、その顧客の景気が良くなければ自身が営業活動を行う際にも支障が出てしまいます。
そのため、営業職の求人を探す際にはその企業の安定性や将来性を確認することはもちろん、その企業の顧客の状況や市場をよく調べておく必要があるのです。
まとめ
今回は印刷業界の現状や募集されている営業職の例や応募の際の注意点について解説してきました。
ここまでで記述したように、印刷業界の営業職に求人応募をする際には安易な気持ちで応募先を選ぶのではなく、印刷業界全体を把握した上で求人応募をするべきと言えるでしょう。
特に営業職として業務を行う際には顧客の経営状況に左右されることもあり、求人募集をしている企業の確認だけは要注意と言えるでしょう。