営業の業界の中でも、メーカー営業の人気は高く他業種の営業からメーカー営業へ転職を希望している人も多数います。
よく「他と比べるとメーカー営業は楽」といわれていますが、本当にメーカー営業は楽なのでしょうか。
今回は転職先としてメーカー営業が人気の理由に迫ります。
メーカーは日本を支える基幹産業
メーカーとは自動車や食品などさまざまな製品を作る製造業で、日本の「モノづくり」を担う存在です。
2019年度のGDPでも製造業は2割以上を占めており、サービス業につぎ日本を支える産業の1つとなっています。
また、日本の製造業は品質や性能が高く、海外でも「Made in Japan」は高い評価を得ています。
2020年に創立100年を迎える製造業はマツダやリンナイなど287社あり、昔から続く社歴がある企業が多いのもメーカーの特徴です。
メーカー営業は、そんなメーカーが作る製品を世に広めることが仕事です。
自社の製品を街中で見かけると大きなやりがいを感じられるでしょう。
営業職が転職を考える理由
メーカー営業は、すでに営業職で働いている人の転職希望先としても人気です。
ではまず営業職の人が転職を考える理由で多いものは何でしょうか。
ノルマが厳しい
業種や会社によっては、厳しいノルマを課せられている営業マンもいるのではないでしょうか。
ノルマを達成できないとインセンティブがもらえずに給料が下がったり、周りからのプレッシャーを感じたりしてストレスになる営業は少なくないでしょう。
誰にでも常に契約が取れるわけではなく、どんなに頑張っても調子が出ない時というのは必ずあります。
ノルマが達成できないと、残業や休日出勤でカバーしようとしてしまう人もいます。
そういう時にノルマに不満を感じて転職を考える営業マンが多いようです。
給料に満足がいかない
営業職の給与体系は、基本給+インセンティブから成っています。
一般的にインセンティブが高いと基本給が低い傾向にあります。
インセンティブが高い業種だと、売上が悪い場合インセンティブがほとんどなく基本給のみとなり、低い給料になってしまうことも。
売上がなくても毎日のように顧客の元に通い、顧客に合わせて休日出勤をしたりすることもある営業は、給料と自分の仕事量が見合っていないと感じる人が多いようです。
飛び込み営業やアポ取りがきつい
新規獲得が必要な営業だと、飛び込み営業や電話によるアポ取りが必ず付きまわります。
飛び込み営業やテレアポは話を聞かれないうちに断られたり、嫌な顔をされたりすることが多くストレスを感じる人は多いです。
アポイントが取れないと商談を行うこともできず、朝から1日中アポ取りの電話につぎ込むことになり、営業=アポ取りとなってだんだん営業の仕事が嫌になってしまいます。
メーカー営業の人気の理由は?
メーカー営業は、基本的に既存顧客へのフォローや新商品の提案が主な仕事のため、営業の中でもさほどストレスを感じることなく仕事ができます。
実は上記で挙げた営業が辞めたくなる理由を、メーカー営業はほとんど解決してくれます。
そのためメーカー営業は断トツで離職率も低く、長く続ける人が多いことでも有名です。
そんな誰もが長く勤めたいと思うメーカー営業の人気の理由7つを具体的に挙げました。
1. 新規獲得の営業が少ない
メーカー企業は老舗が多く、すでに多くの取引先を持っていることがほとんどです。
そのためメーカー営業は新規獲得の営業が少なく、既存顧客へのアフターフォローや新しい商品を売り込みに行くことがほとんどです。
新規獲得のためのアポ取りや飛び込み営業などはめったにないので、ストレスも軽減されます。
2. 既存顧客のフォローがメインでノルマが少ない
メーカー営業が人気の理由の1つにノルマが少ないことがあります。
すでに説明した通り、メーカー営業の仕事は既存顧客を回るルート営業が主で、今の商品の売れ行きを確認したり、キャンペーンをおこなったりなどのアフターフォローや新商品の紹介をおこないます。
無理に商品を売ろうとするような営業方針ではないので、ノルマが少なくノルマに追われることはほとんどありません。
3.メーカーの名前のブランドがあり、初心者でも売りやすい
日本のメーカーは老舗が多く、また地元に密着している企業が多いです。
そのためすでにメーカーの名前がブランドになっていて、自分の営業力より会社や商品のブランド力で売ることができるので、営業歴がない人でも売りやすい業界です。
そのためメーカーの営業は未経験でも積極的に採用しています。
4. 残業や休日出勤が少ない
メーカー営業のように企業相手のBtoBの営業は、基本的に土日祝日が休みです。
また、ノルマが少ないので、ノルマ達成のために休日出勤や残業をすることもありません。
メーカーの企業は大手企業も多いので福利厚生もしっかりしていて、ワークライフバランスを重視しているところも多く残業にも厳しいところが増えています。
5.メーカー営業は好きなことを活かせる
複数のジャンルの商品を扱う商社とは異なり、メーカーは自動車メーカー、食品メーカー、ゲームメーカーなどジャンル分けがしっかりしていて、自社製品しか扱いません。
そのため車好きな人が自動車メーカーの営業を、ゲーム好きな人がゲームメーカーの営業というように、自分の好きなことを仕事にしたい人がメーカー営業を選ぶことが多いです。
自分の好きなことを活かして働くことができます。
6.海外営業になれるチャンスも
日本のメーカーは海外からも高い評価を得ており、日本製品はまだまだ海外市場を広げられるチャンスがあります。
そのため自社製品を海外に売り出すことに積極的なメーカーも増加していて、メーカーの海外営業の求人もここ数年でよく見かけるようになりました。
海外で活躍したい人や英語力に自信がある人、自分の力を試してみたい向上心の高い人にぴったりです。
7.給料が安定している
メーカーは、他の営業の業種と比較すると給料が高く安定しているといわれています。
特に老舗メーカーでは年功序列で長く働けば給料も上がっていくようになっています。
メーカー営業の離職率が低いのも、長くいれば自然と給料が上がっていくことも理由の1つです。
ただ、中小企業やベンチャー企業は実力主義だったり、給料も高く出せないところもあったりするので、一概にメーカー営業は給料が高いとはいえない面もあります。
メーカー営業は楽?
これらの理由からもわかるように、メーカー営業は多くの営業で必要とされている新規獲得のためのアポ取りや飛び込み営業がほとんどなく、また厳しいノルマに追われるということもありません。
それ故に「メーカーの営業は楽」といわれています。
そういう面では確かに楽かもしれませんが、企業が大手であれば抱える顧客数は多く、他の営業と同様に無理難題を言ってくる顧客も中にはいるかもしれません。
また、メーカーは物を売る仕事なので、売った物に不具合や欠陥が出ればクレームとなり、その対応もしなければいけません。
また、常に顧客と良好なコミュニケーションを継続することは簡単なことではないことは営業経験のある人なら誰もが実感していることでしょう。
「メーカーは楽だから」という理由で転職を決めると、採用後「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるかもしれません。
メーカー営業へ転職を成功せるには「志望動機」と「職務経歴書」を重視しよう
営業経験のある人は、自分の経歴を上手にアピールできると、メーカー営業への転職が成功に近づきます。
ここでは、営業職からメーカー営業に転職を成功させるポイントをいくつか紹介します。
今の営業の環境にストレスを感じる人は、メーカー営業への転職もぜひ検討してみてください。
どうしてメーカー営業なのか志望動機を掘り下げる
志望動機は、履歴書にも職務経歴書にも書きますが、面接でも直接聞かれます。
そのため志望動機はしっかりと掘り下げておきましょう。
メーカー営業に転職する志望動機が「楽だから」では通りません。
メーカー企業はさまざまな製品を製造して世の中に送り届けています。
そのため、自動車好きの人が自動車メーカーへ、ゲーム好きの人がゲームメーカーへ、というように自分の「好き」を活かして活躍する人もたくさんいます。
志望先の取り扱っている製品を徹底的に調べてどこに魅力を感じたか、どうして世の中にこの製品を広げたいのか、しっかりと考えて志望動機を決めましょう。
職務経歴書には自分の営業成績など営業内容を丁寧に書く
転職時には履歴書と職務経歴書を書いて求人募集をしている企業に提出します。
企業は、履歴書よりも職務経歴書を重視して面接をするかどうか判断しています。
大企業ほどその傾向にあるため、職務経歴書は、面接につなげるための自己アピールをするものであるという認識をしっかり持って書くことが大切です。
自分が勤めていた企業の名前や年数だけではなく、
- 自分が抱えていた顧客の数
- 取り扱っていた商材
- 営業成績(売上の件数や金額、また社内表彰など)
- 営業手腕(こんなことに配慮をしていた、契約を取るためにこんな努力をしていたなど)
は必ず記入してください。
職務経歴書の書き方を変えるだけで、面接に通りやすくなります。
まとめ 営業経験を活かしてメーカー営業で年収アップや管理職へのキャリアアップも
以上、メーカー営業の転職について解説しました。
営業経験があればメーカー営業への転職は優遇されやすいです。
転職を成功させるためにも、自分のこれまでの営業経験をどうメーカー営業に活かせるのかしっかりアピールできることが大切です。
また長く営業経験がある人は、メーカー営業の管理職に思い切ってチャレンジするのもおすすめです。
他にもこれまでの営業成績がよければ年収アップの前向きな転職も期待できます。
メーカー営業は、新規獲得やノルマに追われることがないですが、日本の製造業を世に広める大切な仕事です。
ぜひ、自分の営業経験を活かしてステップアップの転職にぜひ挑戦してみてください。