求人媒体の募集を見ると多くの企業が営業職の求人をしています。
しかし、企業によって扱う商材が異なり、顧客としている層も異なります。
同じ営業職でも商材や顧客の層によって営業活動の上で気を付けるべきことや手法が異なります。
今回は営業職の中でも「無形商材」と「法人営業」の2点が当てはまる求人募集について詳しく解説していきます。
無形商材とは
営業職が扱う商材を大きく分けると「無形商材」と「有形商材」の2つに分けられます。
「無形商材」とは、その名の通り商材に形が無く”無形物”を商材にしていることを指します。
それに対して「有形商材」とは、無形商材とは違って商材に形があり”有形物”を商材としていることを指します。
無形物商材の主な例と有形物商材の主な例は下記のとおりです。
【無形物商材の例】
- ホームページ
- 保険
- システム
- アプリケーション
【有形物商材の例】
- 車
- 家
- 家具
- 家電
有形商材営業との違い
無形物を扱っている営業職と有形物を扱っている営業職では、営業活動においていくつかの違いがあるので解説していきます。
営業や宣伝手法
無形物と有形物では営業手法や宣伝の方法が異なります。
その理由として大きなものは”広告の信憑性”が挙げられます。
例えば、家電のように実物が店舗にある際にはインターネット上でどれだけ広告費をかけて宣伝をしても、お客さんからすれば「実際に触ったり見てみないとわからない」と感じてしまい、広告の情報よりも実物の方が信憑性が高くなります。
しかし、無形商材では店頭に並べるということができず、商材に関する情報はインターネット上の広告のみとなります。
そのため、お客さんもインターネット上での情報しか頼りが無く広告への信憑性が高くなるため、企業も広告に力を入れたほうが効果を得やすくなるのです。
お客さんが商材のイメージが付きにくい
無形商材と有形商材が顧客に与える印象が異なり、車や家電などの有形物を商材としている時は実際にお客さんが手に取って触れたり目にすることで商材を肌で感じることができ商材をイメージしやすいです。
しかし、それに対して無形物を商材としている時にはお客様が肌で感じることができず、商材に対してのイメージが付きにくくなってしまいます。
しかし、無形商材の営業の際には実際に商材を導入している事例や導入シミュレーションを見せつつ、導入するメリットや機能面のアピールを行うことができるのです。
無形商材営業が未経験の方が注意点すべきこととは
無形商材の法人営業は扱っている商材が無形だからこその注意点があり、未経験の方でもこの点を抑えておけば営業活動が行いやすくなるので解説していきます。
お客さんとの信頼関係が重要
先ほど記述したように、無形商材営業では商材のイメージが付きにくいという点があります。
営業職が未経験の方であれば、初めは扱っている商材のみを気に入ってもらおうとしてしまいがちですが、無形商材のように、商談時にお客さんが商材に関するイメージが付きにくい際に最終的な決め手となるのは”お客さんと営業マンの信頼関係”です。
もちろん商談時にお客さんに商材を気に入ってもらうことは非常に重要ですが、営業マン自身を気に入ってもらう必要があり「あなただから購入(契約)をしたい」と思ってもらうことが重要なのです。
特に無形商材のように商材のイメージが付きにくいという不安が残る際には商談を成功させる為に非常に大事な要素となるのです。
他社の商材を把握しておく
車のような有形商材では”年式”や”走行距離”などのようにいくつかの項目をもとにある程度の費用を算出することができ「相場」というものが存在します。
しかし、無形商材では完全に自社で設定しているオプションやサービスの範囲などで費用が企業ごとに異なり、相場が不鮮明になってしまいがちです。
そのため、お客さんからしても相場がわからなければ1社だけ商談を受けても「もっと安く良いサービスの企業があるかもしれない」という不安や疑問が生じてしまいます。
そんな時に他社の商材についての知識がなければ「A社が○○円、B社が○○円に対して弊社では○○円です。」というように比較対象を提示することができ、お客さんが他社に流れてしまうというケースを防ぐことができるのです。
そのためには、”他社ではいくらくらいで提供しているのか”、”他社ではどんな独自の強みがあるのか”などをしっかりと把握しておき、それに対して自社ではどのようなメリットを出せるのか理解しておく必要があるでしょう。
法人営業と個人営業の違いとは
同じ営業業務でも顧客のターゲットが法人か個人かによっていくつか異なる点があります。
これは営業職が未経験の人では把握しづらいことですので、事前に把握できるようにしっかりと解説しておきます。
法人の方が決裁者に繋ぎにくい
決裁者とは、その商品やサービスの購入や成約を判断する方のことであり、基本的に組織や団体のトップ(代表者)が決裁者であるケースが多いです。
これはどんな企業であっても同じことが言え、ある程度大きな企業であれば部門や分野ごとに担当者を設けており、商談には企業の代表者ではなく担当者が参加して話を聞くという企業もあります。
しかし、そのような企業でも担当者が一度会社に持ち帰り、社内で稟議を進めた後に代表者から導入するかしないかの判断が下されるため、決裁者は代表者であることが多いです。
個人営業の場合、基本的には個人=決裁者であるため、決裁者には繋ぎやすいですが、法人営業の場合は、基本的に担当者や事務員にブロックされ直接的に決裁者にアプローチを掛けることが難しくなってしまいます。
法人営業のように決裁者に繋がりにくい時のデメリットは「決裁者へ認知されず、商談に繋げるまでに苦労する」という点と「法人の担当者に商談ができても返事まで時間がかかるケースが多い」という主に2つあります。
特に法人営業が未経験の方ではまずアポを取る段階や商談に繋げるまでに非常に苦労しやすいのです。
個人と法人で営業に対する認識
法人営業の場合、基本的に毎日のようにいろいろな企業からの営業電話が多く、営業に対して「いろいろな会社から案内がきてめんどうくさい」というように避けてしまい、なかなか商談に繋げることができません。
また、個人営業に関しては普段から頻繁に営業されるという方は法人に比べて少ないため、営業に対しての対応に慣れていないことで商談に進めやすいというケースがあります。
しかし、個人営業の際にはお客さんが営業に対しての耐性がないあまり「なんか怪しい」や「騙されるのではないか」といった不安が生じやすいので注意が必要です。
法人営業の方が商材の単価が高め
個人の年収と法人での年間売上ではほとんどの確率で法人の売上の方が高く、法人営業では事業を発展させたり業務改善のための商品やサービスを販売するケースがほとんどです。
そのため、必然的に個人向けの営業よりも法人向けの営業の方が扱う商材の単価が高くなりやすいです。
また、営業職では単価が高ければ高いほど営業活動の難易度が高く、ターゲット顧客の規模が大きければ大きいほど商材の単価と営業活動の難易度が比例して高くなりやすいのです。
そのため、営業職が未経験の方であればそこまで商材の単価が高くない法人営業を選ぶべきと言えるでしょう。
営業職未経験が法人営業で注意すべきこととは
営業職未経験の方が法人営業を行う際にはいくつかの注意点がありますが、今回はその中でも法人営業が未経験の方が特に注意すべき代表的な点について詳しく解説していきます。
法人営業のビジネスマナーを身に付ける
営業職が未経験の方で一番気を付けなければいけないのが、営業マンとしての基礎的なビジネスマナーです。
営業職では特に顧客との信頼関係が重要であり、営業が未経験と言えどビジネスマナーは当たり前のように身に付けていなければいけません。
特に法人営業の場合は細かな部分は意外に見られており、ビジネスマナーができているかいないかによって顧客からの信頼にも影響してしまうというケースも少なくありません。
法人営業が未経験だからこそ失敗を気にし過ぎない
営業職が未経験の方の多くはすぐに結果を出そうと必死になり、断られるほど焦ってしまいがちです。
しかし、営業職ではむしろ断られるのが当たりまえとも言える仕事であり、どんなトップ営業マンでも10件中10件を成約に結び付けるのは不可能と言っても過言ではありません。
もちろんすぐに結果を出す事も大事ですが、失敗を気にし過ぎて焦ってしまったり萎縮してしまっては元も子もありません。
そのため、営業職が未経験の方であれば結果を焦り過ぎず、程よく開き直って営業活動を行うくらいがちょうどいいでしょう。
法人営業の本質を理解する
営業職が未経験の方で良くある考え方として「法人営業はお客さんから契約をもらうことが仕事」と認識している方が多いです。
もちろん営業職の仕事は商品の購入やサービスへの申し込みなどの契約をいただくことで自社に利益を生み出すことが仕事ですが、法人営業のそもそもの仕事としては「顧客となる法人が抱えている問題点や課題を見つけ出し、改善すること」と言えます。
”契約をいただいて費用をいただくから相手の課題を解決する”のではなく、”相手の課題を解決するから費用をいただく”という考え方であり、この考え方を未経験でも持っている方であれば法人営業として問題なく活躍できるといっても過言ではありません。
この考え方は、”あくまでお客様の課題解決のためのサービスを提供してお客様の満足度が高まる対価として費用が発生する”ということなのです。
<まとめ>無形商材の法人営業が未経験でも十分にこなすことができる
今回は営業職の中でも無形商材を扱っている法人営業に焦点をあてて解説してきました。
ここまでで記述したように、企業によって扱っている商材が無形商材なのか有形商材なのかが異なり、無形商材には無形商材の、有形商材には有形商材の気を付けるべき点があるのです。
また、個人向けの営業か法人向けの営業かによって注意すべき点が異なるため、営業職が未経験でも事前に心得ておくべきことがいくつかあるのです。
そして、今回の記事を通してのまとめとして、”無形商材を扱っている法人営業が未経験の方でも十分にこなすことはできるが、事前にいくつかの注意点をしっかりと把握しておくべき”と言えるでしょう。
特に法人営業は未経験の方でも求人の応募がしやすくなっており、未経験だからこそチャレンジがしやすい業種となっています。
そのため、自身の中で無形商材よりも有形商材の方がやりやすそうと感じれば有形商材の営業に、逆に無形商材の方が未経験でも面白そうと感じる場合は無形商材の営業職に応募をしてみることをおすすめいたします。