提案営業に転職を考えている人へ!提案営業の仕事内容や求められるスキルについて

求人サイトなどで、営業の求人を探していると「提案営業」という言葉をよく見かけるようになりました。

提案営業は、顧客も営業マンもお互いwin-winの関係が築ける営業スタイルです。

訪問営業やアポイント営業などでストレスを感じて転職を考えている人には、提案営業への転職も選択肢の1つとしておすすめです。

今回は、提案営業についてわかりやすく解説します。

提案営業とは

営業をしている人なら「提案営業」とか「ソリューション営業」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

また、提案営業に関する書籍も数多く発刊されています。

提案営業とは、顧客が抱えている問題などを解決する手段として自社の製品やサービスを提案する営業方法です。

問題を解決することからソリューション営業と呼ばれたりもします。

バブル期はほとんどの企業にはお金があったため、何もしなくても物が売れる時代でした。

しかし、バブルがはじけたことによって、企業は経費節減を余儀なくされるようになり、それまでのように簡単に物が売れない時代に変わりました。

そこで営業スタイルもバブル崩壊後、これまでの「物を売る」営業スタイルから「顧客の課題に寄り添って解決策を提案する」提案営業スタイルへとシフトしてきました。

顧客の課題を解決してメリットが得られるもの、ニーズにマッチするものでなければ物は売れなくなっているのです。

今では、製造業から不動産業、IT企業などさまざまな業界が提案営業に長けた人材を求めて求人をおこなっています。

提案営業が売るのは商品ではなく問題の解決やそれによってもたらされるメリット

提案営業でよく言われるのは、「提案営業が売っているのは商品ではなく、顧客の抱えている課題への解決やその結果もたらされるメリットを売っている」、ということです。

そのためには、自社の製品を売るだけではなく、経営面でのアドバイスや他の商品についてもアドバイスをおこなうこともしなければなりません。

人は、「物を売られようとしている」と感じると、自然と警戒したりこの場から逃げたいと思うようになります。

提案営業は、営業の中でもコンサルティング業に近いスタイルです。

あくまでも顧客の問題や悩みを解決することが大切です。

自社の商品を売るのではなく、その解決策に自社の製品を使うのが提案営業です。

時には、自社とは関係ないものについても相談を受けたりすることもあるでしょう。

そのため売上的には遠回りになるかもしれませんが、提案営業は、そういったこともすべてひっくるめて提案をしながら自社の製品を売る手腕が求められます。

顧客の潜在的なニーズとは

提案営業では、顧客が気付いていない潜在的なニーズを引き出すことが大切といわれていますが、これはどういうことでしょうか。

マーケティングで有名な「ドリルの穴理論」というものがあります。

ドリルを買いに来た人は、本当に欲しいのはドリルではなく穴だ、ということに気付けるかどうかということです。

ホームセンターに「ドリルをください」という人が現れました。
しかし、その時にドリルは売り切れていました。
ここで「ドリルは売り切れです」と伝えたところ、お客様はあきらめて帰っていってしまいました。

一見正しく接客をしているようですが、1人の大切な顧客を逃してしまっているのです。
このお客様が本当に欲しいのはドリルではなく、ドリルを使って開ける穴だとわかっていたら、別の方法を提案できていたことでしょう。

お客様が欲しい穴が小さいものであればキリなどでもよかったはずです。

またホームセンターで購入した板に穴を開けたかったのなら、サービスで開けてあげることもできたかもしれません。

そのためには、

  • どの素材にどのくらいの穴を開けたいのか
  • そもそも何のための穴なのか
  • 今回限りで使う予定がないのか、今後もドリルを使い続ける予定があるのか
  • 女性が使うのか、男性が使うのか

など、ヒアリングをすることが大切です。

ヒアリングをしなければ、顧客の本当のニーズにたどり着くことができません。

これがまさに提案営業です。

提案営業のメリット

提案営業は飛び込み営業やテレアポがほとんどない

営業には、プッシュ型営業プル型営業と2種類あります。

プッシュ型営業は、テレアポや飛び込み営業のように、こちらから顧客に積極的に営業をかける方法です。

プル型営業は、ホームページやSNSなどで情報発信することで、興味を持ったお客様からこちらに自発的に問い合わせなどの行動を取ってもらう方法です。

提案営業は、プル型営業にあたります。

そのため、新規開拓をおこなう場合も、ホームページなどから問い合わせてきている人をターゲットにしていることがほとんどで、営業で多くの人がストレスを感じる飛び込み営業やテレアポはめったにおこないません。

顧客に喜ばれる営業ができる

営業の経験がある人なら「無理やり売りつけているのではないか」というストレスを誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。

提案営業だと、最終的に顧客の課題を解決できたというメリットを顧客に与えることができます。

そのため顧客からは感謝されることがほとんどです。

営業特有の売りつけているという意識からも解放されます。

成果をあげやすい

これまでの「物を売る」スタイルでは、顧客にその商品が必要か必要じゃないかを委ねるものでした。

そのため、必要がないと思われてしまうとそれ以上売ることは困難になります。

提案営業の場合、顧客の課題を解決するための手段として自社の商品を紹介するために、その時点ですでに顧客にとってはその商品が必要であることを認識させることができます。

そのため、これまでの営業スタイルよりも提案営業は成果をあげやすいといわれています。

顧客と長い付き合いができる

顧客の課題を解決できると、顧客から営業への信頼度がぐっと高くなります。

「この人に相談すれば安心」と思ってもらえると、次々と依頼を受けることが増えていきます。

お互いwin-winの関係が築きやすいのが提案営業のメリットです。

提案営業のデメリット

成約までに時間がかかる

自分の悩みや問題を初対面の人には話せないのと同様に、顧客は信頼関係が構築できていない営業には、自社の課題や悩みを教えてはくれません。

そのため、まずは信頼関係を築くことが大切です。

信頼関係ができてからが提案営業のスタートです。

ヒアリングから提案書の作成、プレゼンテーションを経て成約となり、長い時間をかけて成約に結び付けていきます。

基本的に法人営業は、成約すると金額が大きい分成約までに長い時間がかかります。

すぐに成果を上げたい人は、個人をターゲットにした営業の方が向いているといえます。

個人向け営業は、その本人に購入決定権があるため、成約までの期間が短い傾向にあります。

いろいろな知識をつけなければいけない

提案営業をおこなうためには、自社の製品だけではなく、その業界の事情やトレンド、世の中の情勢などに詳しくなければいけません。

顧客の課題を解決するには、さまざまな知識が必要です。

訪問するたびに業界のトレンドなどを教えてくれる営業マンがいれば、「この人はうちの業界に詳しいから、この人になら相談できそうだ」と思ってもらえる確率がぐっと高くなります。

ニュースを見たり、業界新聞を読んだりなど、日々継続して学ぶことが苦手な人には提案営業で成功することは難しいでしょう。

提案営業に向いている人

人と話すことが好き

提案営業に必要なのは、まずコミュニケーション能力です。

顧客の課題を引き出すためには、多くのコミュニケーションをとらなければいけません。

そのため、人と話すことが好きだったり、よく人から悩み相談を受けたりするような人は、提案営業に向いています。

自主的に学ぶことが好き、学ぶ習慣がついている

コンサルティングにも近い提案営業は、業界のトレンドなどにも詳しくなければ務まらないでしょう。

実際に提案営業に成功している人は、日々情報をインプットするために努力を重ねています。

取り扱っている商品の業界に詳しくない人は、顧客から信頼されるのは難しいでしょう。

日々学んでいって新しい情報に敏感になれるような人なら、提案営業で成功できます。

資料作成が得意

提案営業では、わかりやすい資料を作ることが成約につなげるポイントになります。

顧客の課題はそれぞれなので、顧客に合ったオーダーメイドの資料作成が必要です。1つひな形を作っておけば使いまわせるようなものでは、その顧客の課題を解決することはできません。

資料作成が苦手だと苦労することになります。

分析することが好き

相手の潜在的ニーズを引き出すには、分析が欠かせません。

相手の企業の資本金や事業内容、決算情報、企業目標など相手の企業を知ることから始まります。

企業分析、市場分析、業界分析など、徹底的に調べることが、よい提案へと結びつきます。

分析するためのフレームワークなどについても知識が必要です。

営業未経験でも提案営業に転職はできる?

提案営業の求人を見ていると、「未経験歓迎」と書いてある求人は意外と多く出回っています。

基本的に営業の求人は、経験者が優遇されています。

未経験でも20代の転職であれば、ポテンシャル採用や第二新卒採用で採用されやすくなっています。

30代以降になると、営業経験未経験で提案営業への転職は難しいかもしれません。

他の求職者で営業経験のある人がいれば、そちらが優先されてしまうからです。

30代以降で提案営業への転職を希望している人は、転職エージェントの利用がおすすめです。

未経験でも採用履歴のある企業など、求人情報には載っていない情報を知っているからです。

また、これまでの経歴と提案営業との共通点やアピールできるポイントなども見つけてくれて、転職を有利な方向に進めてくれます。

まとめ

これまで説明してきたように、提案営業では、さまざまな知識と情報のアップデートが求められます。

そのため決して簡単な仕事ではありませんが、企業の課題を解決できるという大きな達成感を感じられる仕事です。

提案営業は、今ではほとんどの業界で取り入れられており、自分の好きな業界でも提案営業の求人を見つけることができるでしょう。

提案営業に興味を持った人はぜひチャレンジしてみてください。