介護保険サービスの受給を希望する際には、要介護度によって受けられる介護保険サービスや受給できる金額、支援内容が異なります。
そして、介護を希望する人と要介護度を判断するのが介護認定調査員です。
正確には、介護認定調査員が行うのは要介護度判定の一次判定のみですが、介護認定調査員が要介護判定のなかで大きな役割を果たしているのは事実です。
そこで、この記事では介護認定調査員の募集に応募したいと思っている人に向けて、介護認定調査員の募集に応募すべき人の特徴や介護認定調査員の業務内容、介護認定調査員の業務が辛いと言われる理由について詳しく紹介します。
それでは、見ていきましょう。
介護認定調査員とは?
介護認定調査員は、介護保険サービスを利用したい介護を必要としている人に対して、要介護判定を行うのが仕事です。
介護認定調査員が、要介護度を調査する際には介護を必要としている人が要介護状態であるかどうか、要支援状態であるかどうかを中心に調査を行います。
また、介護認定調査員が介護認定調査を行う際には実際に対象者の家を訪問して心身の状態を調査し、決められた調査項目で介護認定調査を実施するのが特徴です。
調査項目は、以下の通りです。
1.身体機能・ 起居動作 |
1-1 麻痺 |
1-2 拘縮 |
1-3 寝返り |
1-4 起き上がり |
1-5 座位保持 |
1-6 両足での立位 |
1-7 歩行 |
1-8 立ち上がり |
1-9 片足での立位 |
1-10 洗身 |
1-11 つめ切り |
1-12 視力 |
1-13 聴力 |
2.生活機能 |
2-1 移乗 |
2-2 移動 |
2-3 えん下 |
2-4 食事摂取 |
2-5 排尿 |
2-6 排便 |
2-7 口腔清潔 |
2-8 洗顔 |
2-9 整髪 |
2-10 上衣の着脱 |
2-11 ズボン等の着脱 |
2-12 外出頻度 |
3.認知機能 |
3-1 意思の伝達 |
3-2 毎日の日課を理解 |
3-3 生年月日をいう |
3-4 短期記憶 |
3-5 自分の名前をいう |
3-6 今の季節を理解 |
3-7 場所の理解 |
3-8 徘徊 |
3-9 外出して戻れない |
4.精神・行動 障害 |
4-1 被害的 |
4-2 作話 |
4-3 感情が不安定 |
4-4 昼夜逆転 |
4-5 同じ話をする |
4-6 大声を出す |
4-7 介護に抵抗 |
4-8 落ち着きなし |
4-9 一人で出たがる |
4-10 収集癖 |
4-11 物や衣類を壊す |
4-12 ひどい物忘れ |
4-13 独り言・独り笑い |
4-14 自分勝手に行動する |
4-15 話がまとまらない |
5.社会生活 への適応 |
5-1 薬の内服 |
5-2 金銭の管理 |
5-3 日常の意思決定 |
5-4 集団への不適応 |
5-5 買い物 |
5-6 簡単な調理 |
調査票にまとめたあとは介護認定審査会に報告をし、要介護認定の一次判定を行います。
介護認定調査員が調査をした結果だけではなく、介護認定調査員が調査をした一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われて、要介護認定が実施されるのが特徴です。
そのため、介護認定調査員は正確な調査を行うことが求められ、介護を必要としている人の要介護度の認定においては大きな要素になるのが介護認定調査でもあります。
介護認定調査員になるには?
介護認定調査員になるには、資格要件を満たしていることが必要になります。
また、新規か更新かでも介護認定調査員として活躍できる人が異なるのが特徴です。
社会福祉法人や日本赤十字、そのほか指定された民間企業などを対象にした指定事務受託法人の場合、下記の要件を満たしていることが必要になります。
- 必要資格を有し、資格取得後に介護現場での実務経験に5年以上従事している、もしくは過去に認定調査に従事した経験が1年以上ある者
- 都道府県の実施する認定調査員研修を修了し、委託元市町村が実施する質の維持のための研修を修了した者
必要資格は、以下の資格です。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 歯科衛生士
- 栄養士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 視能訓練士
- 義肢装具士
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
また、新規で介護認定調査員になる場合は市区町村の職員もしくは、地方自治体に委託された事務受託法人であることが必要になります。
居宅介護支援事業所や介護施設の場合、介護支援専門員に限り更新のみが認められています。
介護認定調査の流れ
介護認定調査では、一次判定のための聞き取りを行うだけではなく、介護認定調査日程の調整や介護認定調査後の資料作成も重要な業務になります。
介護認定調査日時の調整では、調査対象者に介護認定調査員から電話をかけて日程を調整します。
また、介護認定調査を実施する場所に関しては自宅で行うのが基本ではありますが、調査対象者が入院中などの場合は病院で介護認定調査を実施することもあるので、介護認定調査では調査対象者と場所の調整も重要です。
介護認定調査では、調査対象者のみではなく対象者のご家族や介護ヘルパーに同席をお願いすることもあるので、調査対象者のみではなくご家族との日程・場所調整もスムーズに介護認定調査を行う上では必要になります。
介護認定調査を行う際には、介護支援専門員証もしくは調査員証を持参し、介護認定調査員であることを証明できるようにしましょう。
また、介護認定調査では視力検査も行うので、介護認定調査では視力確認票も持参しないといけません。
介護認定調査では、以下の3つを実施します。
- 概況調査
- 基本調査
- 特記事項
概況調査では、以下の項目を記入します。
- 調査実施者
- 調査対象者
- 現在受けているサービスの状況
- 置かれている環境等
基本調査では、以下の項目を記入します。
- 身体機能・起居動作
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会生活への適応
- 過去14日間にうけた特別な医療について
特記事項では、介護認定審査会で行われる二次判定のために概況調査と基本調査ではわからない部分を評価することが求められます。
介護認定調査員の募集に応募すべき人とは?
介護認定調査員の募集に応募すべき人は、以下のような人です。
- 初対面の人ともコミュニケーションを取れる人
- 注意力が高い人
- 体力がある人
初対面の人ともコミュニケーションを取れる人
介護認定調査員の募集に応募すべき人の特徴に初対面の人ともコミュニケーションをとれる人が挙げられます。
介護認定調査員が行う介護認定調査では、介護を必要としている人とコミュニケーションをとる機会が多いです。
また、介護を必要としている人の中には認知症などの症状がすでに発症している人もおり、コミュニケーションにおいて通常よりも時間がかかる部分があります。
注意力が高い人
介護認定調査員の募集に応募すべき人の特徴の一つに注意力が高い人が挙げられます。
介護認定調査では、調査対象者の行動などを見た上でチェックリストを基に判断していくことが求められます。
そのため、介護認定調査員は高い注意力を持って調査対象者のことを見たうえで判断をしなくてはいけません。
その点からも介護認定調査員には高い注意力が求められます。
体力がある人
介護認定調査員の募集に応募すべき人の特徴に体力がある人が挙げられます。
介護認定調査を行う際には、調査対象者のご自宅や調査対象者が入院している病院、老人ホームを訪れて調査を行うことが多いです。
また、1日に複数の調査を行うこともあるので、その点からも体力があり、かつ高い集中力を維持できる人の方が向いていると言えるでしょう。
介護認定調査員の募集条件例
- 求める人材:介護支援専門員資格が必須となります。
- 資格:介護支援専門員資格、調査の移動に車を使う場合もあるのでその場合は運転免許も必要。
- 勤務時間・曜日:9時~17時の間の任意の希望による。
- 休暇・休日:原則土日祝日休み(希望により勤務も可能)
- 勤務地:くまもと介護認定調査センター: 熊本市中央区神水1-26-5-201
- 勤務時間により社会保険等加入可能
- 会社独自の保険制度により全員に入院等の保証制度あり
- 雇用形態: アルバイト・パート、嘱託社員
- 給与: 1,550円 – 1,600円
介護認定調査員の仕事が辛いと言われる理由とは?
介護認定調査員の仕事が辛いと言われる理由は、以下の3つです。
- 調査後の事務作業が多い
- 一人の人の経過観察ができない
- 待遇がよくない
調査後の事務作業が多い
介護認定調査員の仕事が辛いと言われる理由の一つに調査後の事後作業が多いことが挙げられます。
介護認定調査員は、介護認定調査を行うだけではなく、介護認定調査を基にした資料を作成する必要があります。
介護認定調査自体は30分から1時間程度で終わりますが、資料を作成するために半日から1日程度かかることもあり、調査後の事務作業を面倒に思っている人も多いです。
また、調査後の事務作業においてはExcelやパワポなどを使える基礎的なOAスキルも求められるのが特徴です。
そのため、OAスキルがない人の場合はOAスキルの習得から進めなくてはいけず、辛いと思う人もいます。
一人の人の経過観察ができない
介護認定調査員の仕事が辛いと言われる理由の一つに、一人の人の経過観察ができないことが挙げられます。
介護認定調査は、多くの人に対して介護認定調査を行うことが求められます。
そのため、一人の介護認定調査を行った後、その後どのような形で症状が進んでいるのかなどを知ることは出来ません。
そのため、今まで介護職として一人のご利用者様と長く寄り添った経験がある人の場合、介護認定調査員の仕事だと中途半端な感じがしてしまう人がいるのも事実です。
待遇がよくない
介護認定調査員の仕事が辛いと言われる理由の一つに、待遇が良くないことが挙げられます。
介護認定調査員の場合、自分のペースで働きやすいのが魅力ではありますが、公務員ではなく民間の福祉法人での採用の場合、時給が1500円程度になっています。
そのため、資格取得難易度と比較して待遇が良くなくないことを辛いと思っている人もいます。
また、介護認定調査員の場合、公務員として勤務する場合は正社員としての採用が多いですが、公務員以外の場合は正社員ではなくアルバイトのことも多いです。
まとめ
介護認定調査員になるためには、介護職としての経験が必要になるだけではなく、定期的な資格の更新も必要になります。