主任介護支援専門員は、介護支援専門員の上位資格で介護支援専門員の指導を行うことも主任介護支援専門員の業務内容です。
そこで、この記事では主任介護支援専門員になりたいと思っている人に向けて、主任介護支援専門員の年収や主任介護支援専門員に向いている人、主任介護支援専門員の年齢構成・男女構成などについて紹介します。
それでは、見ていきましょう。
主任介護支援専門員になるには?
主任介護支援専門員には、主任介護支援専門員研修を受講することでなることができ、主任介護支援専門員研修を受講するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 専任の介護支援専門員として5年以上従事している者
- 「ケアマネジメントリーダー活動等支援事業の実施及び推進について」に基づくケアマネジメントリーダー養成研修を修了した者または日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネージャーであって、専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して3年以上である者
- 主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている者
- 介護支援専門員の業務に関し十分な知識と経験を有する者であり、都道府県が適当と認める者
主任介護支援専門員研修は、上記の資格要件を満たした上で70時間以上のカリキュラムを修了することが求められます。
主任介護支援専門員のカリキュラムは、公式に決められており以下の通りです。
科目 | 時間数 |
---|---|
主任介護支援専門員の役割と視点 | 講義5時間 |
ケアマネジメントの実践における倫理的な課題に対する支援 | 講義2時間 |
ターミナルケア | 講義3時間 |
人材育成および業務管理 | 講義3時間 |
運営管理におけるリスクマネジメント | 講義3時間 |
地域援助技術 | 講義・演習6時間 |
ケアマネジメントに必要な医療との連携および多職種協働の実現 | 講義・演習6時間 |
対人援助者監督指導 | 講義・演習18時間 |
個別事例を通じた介護支援専門員に対する指導・支援の展開 | 講義・演習24時間 |
主任介護支援専門員研修合計時間数 | 70時間 |
主任介護支援専門員として業務をする際には、主任介護支援専門員研修を受講するだけではなく、定期的に資格を更新することが求められます。
主任介護支援専門員資格を継続するには5年ごとに主任介護支援専門員更新研修を受講することが必要で、46時間以上のカリキュラムを修了することが必要です。
科目 | 時間数 |
---|---|
介護保険制度および地域包括ケアシステムの動向 | 講義4時間 |
主任介護支援専門員としての実践の振り返りと指導および支援の実践リハビリテーションおよび福祉用具の活用に関する事例 | 講義・演習6時間 |
看取りなどにおける看護サービスの活用に関する事例 | 講義・演習6時間 |
認知症に関する事例 | 講義・演習6時間 |
入退院時などにおける医療との連携に関する事例 | 講義・演習6時間 |
家族への支援の視点が必要な事例 | 講義・演習6時間 |
社会資源の活用に向けた関係機関との連携に関する事例 | 講義・演習6時間 |
状態に応じた多様なサービスの活用に関する事例 | 講義・演習6時間 |
主任介護支援専門員更新研修合計時間数 | 46時間 |
主任介護支援専門員の年収とは?
厚生労働省が発表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネージャーの平均月収は35万7,850円で、主任介護支援専門員の場合はケアマネージャーの上位資格になるので、ボーナス含め年収500万円弱とされています。
主任介護支援専門員の平均年齢とは?
介護支援専門員実態調査結果によると、介護支援専門員の年齢構成は、40代が一番多く40.9%です。
次いで、30代の26.7%で50代が26.1%となっています。
介護支援専門員としての経験年数は、3年以上が56.4%と一番多くなっており、主任介護支援専門員の場合は経験年数が必要になることから5年以上の人が多くを占めることが予想されます。
男女比では、女性が83%と男性よりも4倍以上の数字になっており、男性よりも女性の方が多い職場が多いのも介護支援専門員の特徴です。
主任介護支援専門員の業務内容
主任介護支援専門員は、他の保健医療サービス⼜は福祉サービスを提供する者との連絡調整、他の介護⽀援専⾨員に対する助⾔、指導その他の介護⽀援サービスを適切かつ円滑に提供するために必要な業務に関する知識及び技術を修得することを⽬的として⾏われる研修を修了した者と定められています。
つまり、主任介護支援専門員は介護系資格でありかつ介護支援を指導する立場の上位役職であると言えるでしょう。
具体的に業務について紹介すると、介護支援専門員のサポートや育成業務が挙げられます。
介護支援専門員は、ご利用者様と向き合う機会が多くなりますが、主任介護支援専門員の場合はご利用者様ではなく介護支援専門員と向き合う機会が多くなっております。
職場によっては、主任介護支援専門員の場合は介護支援専門員の育成のみで従事することもあり、介護支援専門員が実務、主任介護支援専門員が管理職として介護支援専門員の育成と役割分担が決められている施設も多いです。
このような施設の場合、主任介護支援専門員と介護支援専門員の業務内容が全く異なることから、介護支援専門員と比較して主任介護支援専門員の年収が100万円以上高いということもあります。
また、主任介護支援専門員の場合、地域の介護環境を整えることを目的に活動をすることもあり、地域単位で活動できる機会があるのも主任介護支援専門員の魅力でしょう。
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由とは?
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由は、以下の通りです。
- 事務作業が多い
- 事業所と利用者の板挟みになることがある
- 資格取得・継続に手間がかかる
- クレーマー気質の利用者がいる
事務作業が多い
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由の一つに、事務作業が多いことが挙げられます。
主任介護支援専門員の場合、介護支援専門員としてご利用者様と向き合うだけではなく介護支援専門員を指導する立場としての業務を任されています。
それに応じて事務作業が多くなっているのも特徴です。
また、地域づくりを通して交流を図るのも主任介護支援専門員の仕事になるので、そこに向けての資料作成などの事務作業に含まれます。
このように事務作業が多くなってしまうのは、主任介護支援専門員が辛いと言われる理由のひとつです。
事業所と利用者の板挟みになることがある
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由の一つに、事務所と利用者の板挟みになることがあるということが挙げられます。
主任介護支援専門員の場合、介護支援専門員の指導だけではなく実際に自分も現場で介護支援専門員として活動することがあります。
その際に、事業所と利用者との間で板挟みになってしまい結果的に精神的な辛さを感じてしまう人もいます。
もちろん、これらの業務は主任介護支援専門員になることで割合としては少なくなりますが、介護支援専門員としての業務が完全にゼロになるということは少なく、特に人手不足の施設の場合、主任介護支援専門員であっても介護支援専門員のような働き方をすることも多いです。
資格取得・継続に手間がかかる
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由の一つに資格取得・継続のために手間がかかるということが挙げられます。
主任介護支援専門員の資格を取得するためには様々な条件がありますが、介護支援専門員として勤務している場合、専属で5年以上の勤務経験が必要です。
そのため、資格を取得するためにも時間がかかってしまうというのは主任介護支援専門員の辛さのひとつでしょう。
また、主任介護支援専門員の場合、資格を取得しただけでは活動することができず、介護支援専門員資格を更新していく必要があります。
更新には45時間以上の講義を受けなくてはならず、これを苦痛に感じる人もいます。
クレーマー気質の利用者がいる
主任介護支援専門員が辛いと言われる理由の一つに、クレーマー気質の利用者がいることで、その利用者の対応をしなくてはいけないということが挙げられます。
主任介護支援専門員の場合、介護支援専門員を束ねる管理職としての役割も担うことも多いです。
管理職としての役割を与えられた場合、介護支援専門員が利用者様からクレームなどを付けられた際に、主任介護支援専門員が代わりに謝罪をしなくてはいけないこともあります。
この際に、クレーマー気質の利用者様との間で交渉を進めなくてはいけず、交渉が精神的な苦痛になってしまうという人も一定数います。
主任介護支援専門員に向いていない人とは?
主任介護支援専門員に向いていない人は、以下の通りです。
- 感情のコントロールがうまくない人
- 交渉ごとが苦手な人
- 丁寧なコミュニケーションができない人
感情のコントロールがうまくない人
主任介護支援専門員に向いてない人の特徴の一つに、感情のコントロールがうまくない人が挙げられます。
主任介護支援専門員の場合、介護支援専門員に指導をすることも多いので感情のコントロールがうまく、かつ自分が思っていることをオブラートに包んで伝えるなど、人に指導をするという立場で話すことが求められます。
そのため、感情のコントロールが上手い人のほうが向いていると言えるでしょう。
交渉ごとが苦手な人
主任介護支援専門員に向いてない人の特徴に交渉ごとが苦手な人が挙げられます。
主任介護支援専門員は、事業所と直接交渉をしたり、場合によっては自分が管理する介護支援専門員と施設の上層部の間で交渉をすることもあります。
このような場面で、交渉ごとが苦手な人の場合、精神的なストレスを強く感じてしまう傾向が強いです。
丁寧なコミュニケーションができない人
主任介護支援専門員に向いていない人の特徴に、丁寧なコミュニケーションができない人が挙げられます。
主任介護支援専門員の場合、介護支援専門員としてご利用者様と向き合うこと場面も多く、ご利用者様に対して丁寧なコミュニケーションをすることも重要です。
それだけではなく自分が抱える介護支援専門員との間でも認識齟齬がないような丁寧なコミュニケーションをしつつ、かつパワハラのような立場を利用したコミュニケーションにならないように心掛けることも必要でしょう。
まとめ
主任介護支援専門員の年収は、500万円前後と推測されますが、勤務形態や施設で担っている役職によっても年収の増減は発生しやすいと言えるでしょう。