電気通信主任技術者の資格は過去問対策だけで合格できるの?

この記事では、電気通信主任技術者の資格は過去問対策だけで合格できるのかということについて解説していきます。

はじめに

昨今のビジネス業界では転職ブームが巻き起こっていますが、あらためて資格取得の重要性が再認識されています。

その中、今、注目されている資格が電気通信主任技術者。この資格は電気通信業界での転職で有効に使える資格として注目されている国家資格ですが、合格率が低い試験としても知られています。

そのためにどのような学習対策を取ればいいのか悩んでいる人も多いのですが、学習方法として「過去問対策をやっておけば十分」とも。この試験を乗り切るためには、果たして過去問対策だけでいいのでしょうか?

今回の記事では、電気通信主任技術者試験での過去問対策の有効性について、解説していきます。

そもそも電気通信主任技術者とはどんな資格なの?

そもそも電気通信主任技術者はどのような資格なのでしょうか?この資格を持っていると、NTT・ソフトバンク・KDDIなどの通信事業者が通信サービス事業を営むために使う電気通信設備のトータル的な管理の責任者として従事することができます。

何故、そのような仕事ができるのかと言えば、通信事業者は設備を総務省令で定められている技術基準に適合させなければならないためです。

その品質を保つために電気通信設備の工事・運営・維持の現場責任者を担うのが、電気通信主任技術者なのです。

ちなみに電気通信主任技術者には、事業者用伝送交換設備などの工事・維持・運用までの管理監督を行う「伝送交換主任技術者」と事業用線路設備などの工事・維持・運用の管理監督を行う「線路主任技術者資格者」の2種類の資格があります。

転職に有利な電気通信主任技術者

電気通信主任技術者の資格を持っていると、転職に有利だと言われています。それは何故でしょうか?

この資格を持っていると、NTTなどの電気通信事業者の事業用電気通信設備に関わる業務の監督責任者という仕事に従事することができます。しかし、それだけでなく電気通信に関連した業界における転職・再就職でも有利になるのです。

近年では、世の中のネットワーク需要が増大しており、電気通信工事ニーズの高まりが背景に考えられます。通信工事の現場施工管理の監督者求人も多くなっており、電気通信主任技術者資格を持つ人が転職する時に、好条件で採用される確率が高くなっているのです。

難易度の高い電気通信主任技術者試験

転職市場でも有効的に使える電気通信主任技術者ですが、資格試験は難易度の高い試験と言われています。

試験は年2回実施されてますが、これまで数年の合格率を見ると、下の表からも非常に合格率が低いことが分かります。

伝送交換主任技術者線路主任技術者
平成29年度試験(第1回)23.4%15.5%
平成29年度試験(第2回)25.7%32.1%
平成30年度試験(第1回)27.8%30.3%
平成30年度試験(第2回)29.3%32%
令和元年度試験(第1回)24.8%22.6%
令和元年度試験(第2回)28.5%33%

出典:一般財団法人日本データ通信協会

表を見ると、合格率は20%〜30%程度に留まっています。中には10%台という時もありますが、この試験をクリアするためには、本当に過去問対策だけでいいのでしょうか?

試験科目の変更も認識しておくこと

これから電気通信主任技術者資格取得を目指す人は、試験科目が変更されていることも認識しておく必要があります。

この試験は令和3年以降、試験科目が4科目から3科目に変更去れているのです。

変更前(~令和2年)変更後(令和3年~)
  1.電気通信システム  1.電気通信システム
  2.専門的能力  ・伝送交換主任技術者      (伝送・無線・交換・通信電力・データ通信)  ・線路主任技術者       (通信線路・通信土木・水底線路)  2.設備 及び 設備管理  ・伝送交換主任技術者 伝送交換設備概要(伝送・無線・交換・通信電力・サーバー) 伝送交換設備管理      ソフトウエア管理(新規)  ・線路主任技術者 通信線路・通信土木・水底線路 線路設備管理
  3.設備 及び 設備管理  ・伝送交換主任技術者      (伝送交換設備の概要 及び 設備管理)  ・線路主任技術者      (線路設備の概要 及び設備管理)  
  4. 法規  3. 法規

上の表からも分かるように具体的には「専門的能力」がなくなり、「設備 及び 設備管理」統合された形になっています。

「専門的能力」にあった伝送交換主任技術者の一部が「伝送交換設備の概要」、線路主任技術者に関係する一部が「線路設備の概要」に統合、「設備 及び 設備管理」においては、

新たに「ソフトウェア管理」「サーバ」が追加されているのです。

これに伴い、「伝送交換設備 及び 設備管理」「線路設備 及び 設備管理」の各設問数は40問から60問に増加。試験時間も100分から150分に変更されています。

このようなことを踏まえた上で受験者は試験対策に臨まなければなりません。

各科目の難易度度

合格率が20%~30%台に留まっている電気通信主任技術者試験ですが、合格点の目安としては、各科目とも60点以上を取ることと言われています。

そのために各科目の難易度を認識しておくことも大切です。

設備 及び 設備管理

試験の中で最も難しいのが、「設備 及び 設備管」でしょう。この科目においては、技術用語や規格などに関する問題が数多く出題されます。

年度によっては新しい問題が出題されることもありますが、加えて「専門的能力」の内容まで統合されているので、じっくりと勉強していかなければなりません。

専門的能力

令和3年以降は廃止された科目ではあるものの、試験対策として過去問を解く練習では避けることができない科目。何故なら「設備 及び 設備管理」の中で出題されるため。

通信分野の試験でもあるために、5Gやネットワーク関係などの新技術の知識も勉強しておく必要があります。

電気通信システム

「電気通信システム」でも出題形式が穴埋め・正誤問題形式で出題されますが、範囲が広い点が特徴。かなり難しい科目に感じている人も少なくないのですが、過去問を繰り返し解いていくことで、出題傾向を掴んでおくことか合格点を取るポイントです。

法規

「法規」は、暗記に徹することで、比較的簡単に合格点を取ることができます。電気通信事業の仕事を担う上で理解しておかなければならない法律の問題のために、例年同じような問題が出題されます。

試験直前に徹底して暗記するように学習を進めて逝けばいいでしょう。

受験対策は参考書だけで大丈夫?

難易度の高い電気通信主任技術者試験ですが、一般的に多くの人が口を揃えるように言っていることは、過去問の反復練習。本当にこれだけでしっかりと対策となるのでしょうか?

端的にいうと、いくつもの学習書・参考書を使うよりも、1つの過去問解答集で徹底的に勉強した方が、学習効果が期待できます。各問題毎に解説欄もあるために、チェック&フォローが可能なのです。

但し、各科目の過去10回分の問題学習掲載されている問題集を利用した方が、出題される傾向をより正確に把握することができるでしょう。

また、できるだけ最新年度版の過去問題集を購入するのが、おすすめです。

過去問反復練習のメリット

過去問の反復練習が受験対策の基本となるわけですが、これをしっかりと押さえておくことで、試験の4割の点数を稼ぐことがてきる、でしょう。

必ずしも過去に出された問題がそのまま出題されるわけではありませんが、点数のベースを作るためには、必須の学習法なのです。

出題傾向が把握できる

過去問の反復練習のメリットは、何と言っても、出題傾向を把握できること。穴埋め問題では問われる箇所が予想できますし、参考書を読んで勉強する場合でも、公式や専門用語などをピンポイントで理解を深めることも可能。

それだけ試験の傾向が掴むことで、効率の高い勉強ができるのです。

さらに過去問学習効果を高めるためには

過去問の反復学習が受験対策の基本となるわけですが、全く基礎知識のない人が勉強していくためには、やはりベースとなる知識をある程度、蓄積しておく必要があります。

そのためには、どうすればいいのでしょうか?

過去問題集を繰り返し流し読みを繰り返し全体像を掴む

基礎的な知識を習得していくためには、過去問題集を読むことから進めていくことになります。特に解決欄に詳しい説明が記載されているので、ここを重点的に目を通すようにしてください。

但し、熟読する必要はありません。試験内容の出題傾向の全体的な姿を掴むことがポイント。熟読するのではなく、流し読みを何度も繰り返していくことに徹してください。

出題範囲が広いため全体像を横断的に俯瞰するような思いで読むこと。しかし、何度も繰り返し読み流していくことで、学習量を増やしていくことを忘れないようにしましょう。

過去問反復学習で出題傾向の理解を深める

問題集の解説欄を何度も繰り返して流し読みすることで幅広い知識を得ることができるようになってきます。

そして、次に過去に出題された問題を何度も繰り替えして解くようにしていしましょう。言い換えると、学習の回転率を意識しながら学習の反復練習で、出題傾向を理解しつつポイントを暗記していくことで学習効果を高めることができるようになってきます。

インターネットの専門サイトで不明点をカバー

電気通信主任技術者試験は出題範囲が広いために、過去問の反復学習を続けていくうちに理解度の低い箇所も見えてきます。

間違った箇所は問題集の解説欄で足りない知識をカバーすることになりますが、どうしても理解することが難しい部分を出てきます。

このように理解できない箇所はそのままにしておくのではなく、ネットで検索して関連する用語や数式などの意味を調べて、疑問点を1つひとつ潰していくようにしましょう。

このような進め方で過去問反復学習の効果を高めていくことができるのです。

まとめ

ここまで電気通信主任技術者試験対策は過去問対策だけで大丈夫なのか、以下のようなポイントで解説してきました。

・そもそも電気通信主任技術者とはどんな資格なの?

・転職に有利な電気通信主任技術者

・難易度の高い電気通信主任技術者試験

・試験科目の変更も認識しておくこと

・各科目の難易度難度

・受験対策は参考書だけで大丈夫?

・過去問反復練習のメリット

・さらに過去問学習効果を高めるためには

とてもシンプルな学習法ですが、何度も繰り返し学習していくことで、習熟度を高めていくことこそ、合格の近道と言えるのではないでしょうか?

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