電気通信主任技術者試験でソフトウェア管理が追加になった!その勉強方法とは?

この記事では、電気通信主任技術者試験で新たに追加されたソフトウェア管理に焦点を当てながら、電気通信主任技術者試験の勉強方法について解説します。

はじめに

転職ブームが叫ばれる中で高度なネットワーク社会が普及してきました。このような社会的な環境を背景にして、電気通信主任技術者の資格を持っている人に注目が集まっています。

電気通信ネットワーク工事・運営などの現場管理に従事できる人材が慢性的に不足しているためです。

但し、電気通信主任技術者資格を持っていることで通信業界での転職が有利になると言われているのですが、技術者として働くためには国家試験に合格する必要があります。

この試験は令和3年から試験科目が変更され、新たに「ソフトウェア管理」という分野が追加されたのです。そこで今回の記事では電気通信主任技術者試験におけるソフトウェア管理がどんな内容でどのように勉強すべきかについて解説していきます。

電気通信主任技術者という仕事

まず、始めに電気通信主任技術者がどのような仕事なのかを押さえておきましょう。この資格は電気通信ネットワークにおける工事・維持・運用の現場を監督する責任者を担う仕事。

具体的には、NTT・ソフトバンク・KDDIといった電気通信事業者が保有している事業用電気通信設備の諸々の監督業務に当たる仕事なのです。

事業用電気通信設備は総務省令で定められた技術基準にマッチさせておく必要があり、各通信事業者が自主的な電気通信主任技術者を選任してその業務に当たらせています。

但し、この資格を持っていると通信事業者だけでなく、電気通信工事会社などで現場施工管理者としての道も開けていくため、電気通信の関連業界での転職・再就職にも有利になると言ってもいいでしょう。

2種類ある電気通信主任技術者

尚、近年ではネットワーク技術の多様化しているために、知識・能力の専門性が今まで以上に深くなってきたため、電気通信主任技術者は以下のような2種類の資格が設定されています。

伝送交換主任技術者資格

伝送交換主任技術者は、電気通信事業者が保有する伝送交換設備や関連設備の工事・維持・運用の管理監督に従事するための資格。

線路主任技術者資格

線路主任技術者は、電気通信事業が保有する線路設備や関連設備の工事・維持・運用の管理監督に従事するための資格。

電気通信主任技術者試験の科目変更について

今回は令和4年からの科目変更に伴い、ソフトウェア管理が追加されていることがテーマとなっていますが、具体的には電気通信主任技術者試験はこれまで4科目だったものが3科目になっています。

変更科目の内容

従来の4科目から3科目になった電気通信主任技術者試験。具体的には以下のような内容に変更されています。

変更前(~令和2年)変更後(令和3年~)
  1.電気通信システム  1.電気通信システム
  2.専門的能力   ・伝送交換主任技術者      (伝送・無線・交換・通信電力・データ通信)  ・線路主任技術者       (通信線路・通信土木・水底線路)    2.設備 及び 設備管理・伝送交換主任技術者    伝送交換設備概要(伝送・無線・交換・通信電力・サーバー) 伝送交換設備管理      ソフトウエア管理(新規)・線路主任技術者    通信線路・通信土木・水底線路・線路設備管理    
  3.設備 及び 設備管理  ・伝送交換主任技術者      (伝送交換設備の概要 及び 設備管理)  ・線路主任技術者      (線路設備の概要 及び設備管理)
  4. 法規  3. 法規

上記の表を見ると、令和3年以降、専門的能力の中で伝送交換主任技術者資格の一部が伝送交換設備の概要に統合、線路主任技術者の一部が線路設備の概要に統合されています。

特に伝送交換主任技術者の「設備及び設備管理」において、今回の主テーマとなる「ソフトウェア管理」が追加されたわけです。

難易度の高い電気通信主任技術者試験

電気通信主任技術者は電気通信事業者における省令によって選任が義務づけられた重要な職種であるため、同業界における就職・転職でも有利になる国家資格。

この資格を取得するためには、言うまでもなく電気通信主任技術者試験に合格する必要があります。しかし、難易度の高い試験としても知られているために計画的に勉強に取り組んで行かなければなりません。

これまでの合格率を見ると、過去数年では毎年2割〜3割程度の受験者しか合格できないのが実状。2割前後に留まっているとされているので、かなり時間をかけて勉強をしなくてはなりません。年によっては1割台という時もあり、効果的な学習方法を進めていく必要があります。

毎年2回試験が実施されていますが、過去の電気通信主任技術者試験の合格率は以下の通りです。

伝送交換主任技術者線路主任技術者
平成29年度試験(第1回)23.4%15.5%
平成29年度試験(第2回)25.7%32.1%
平成30年度試験(第1回)27.8%30.3%
平成30年度試験(第2回)29.3%32%
令和元年度試験(第1回)24.8%22.6%
令和元年度試験(第2回)28.5%33%

出典:一般財団法人日本データ通信協会

上記の表のように電気通信主任技術者の伝送交換主任技術者・線路主任技術者では、どちらも合格率が低いことが理解できることと思います。高い時でも3割を少し上回る程度で、狭き門と言っていいでしょう。

ソフトウェア管理の対象範囲

では、新たに追加となった「ソフトウェア管理」の対象範囲について見ていきましょう。

「ソフトウェア管理」は、伝送交換主任技術者資格に追加去された試験科目であり、従来は専門科目にあった「データ通信」科目の中で出題されていたソフトウェア系の内容が新しく共通設問として出題されるもの。問題数も大幅に増えているのですが、ソフトウェア開発概要・ソフトウェア導入・維持運用に関する問題が出題されます。

主にソフトウェア技術に関して、オペレーティングシステム(オペレーティングシステムの機能・種類・標準コマンド)を始め、ミドルウェア(ミドルウェアの機能・種類・データベース・Webサーバ等)やアプリケーション(アプリケーションソフトウェアの概要・パッケージプロダクト・スクラッチ開発ソフトウェア)、プログラミング/マークアップ言語(C言語・Java・スクリプト言語・HTML・XML)など、かなり踏み込んだ専門的な項目が対象となってくるのです。

計画的な学習を必要とする電気通信主任技術者試験

何度もお話してきたように令和3年から試験制度が変わり、専門的能力の科目がなくなり、これまでの4強化が3科目になりました。そのために学習範囲が減ったように感じるかもしれませんが、決してそうではありません。専門的能力の選択であった伝送・交換・無線・データ通信・通信電力が設備管理の科目に一部吸収されて選択ではないのです。

しかも、「設備 及び 設備管理(伝送交換主任技術者)」において、「データ設備」「サーバ設備」や「ソフトウェア管理」が新たに追加されています。特に「ソフトウェア管理」という新しい分野は、問題数はかなり多くなっており、出題範囲を予測することが、かなり困難だという意見もあるほど。

残念ながら、新しい試験制度になってから、新科目に対応している過去問が掲載された考書・問題集はそんなに多くはありません。そのため「ソフトウェア管理」を含む「設備 及び 設備管理」の試験対策は、計画的な勉強方法を確立していく必要があるわけです。

尚、合格するためには、法規・電気通信システムで確実の合格レベルまで学力を高めておき、最後にソフトウェア管理を含む「ソフトウェア管理」を含む「設備 及び 設備管理」に集中するという方法も1つと言っていいでしょう。

合格するためには反復学習が基本

先ほども国家資格である電気通信主任技術者の試験はかなり狭き門と言われています。合格者の比率は約2割から3割と言われてる程度。この難度の高い試験に合格するためには、短期間で一夜漬けのような学習では決して難関を突破することはできません。

この試験に合格するためには、参考書・問題集を使いながら、過去問をひたすら繰り返し解いていく反復学習が最も効果的な方法なのです。では、「ソフトウェア管理」を含む試験に合格するためには、具体的にはどのような手法で学習していくべきなのでしょうか?

参考書を繰り返し流し読みを繰り返し全体像を掴む

ソフトウェア管理の試験内容だけでなく、他の教科も含めて試験内容がどのような傾向で出題されているか全体像を掴む必要があります。

そのためには参考書・学習書を流し読みを何度も繰り返して読んでいくことを継続的に進めていきましょう。

本来なら熟読して内容を完全に理解するべきかと感じるかもしれません。しかし、試験はソフトウェア管理だけでなく、出題範囲が広いため広く横断的に把握する程度で読んでいくようにした方がいいでしょう。

しかし、何度も繰り返して読み流していくことで、学習量を増やして行き頭の覚えさせていくことがポイントと思ってください。

出題傾向の理解を深めるために過去問を繰り返し解く

学習書の流し読みの反復学習で徐々に広い範囲での学習効果が現れてきます。そして、ここからがいよいよ本格的な学習ステージに移っていきましょう。これは過去に出題された問題を何度も繰り替えして解くようにしていくのです。

そうすることで出題傾向に慣れていくようにしていくのですが、少なくとも過去10年前まで遡り、過去問を解くようにしておきましょう。

特に新たに追加されたソフトウェア管理としての過去問を扱っている問題集はそんなに多くはないため、元々専門科目の中にあった「データ通信」の中で出題されていたソフトウェア系の過去問を中心に繰り返し解いていくようにしましょう。

インターネットの専門サイトで不明点をカバー

ソフトウェア管理に限らず、全科目の学習において、学習書の流し読みや過去問反復練習が基本的な勉強法となるのですが、過去問の解説欄をしっかりと熟読して理解を深めていくことが大切です。

尚、解説欄だけで理解できない場合は、インターネットで専門サイトにアクセスして、疑問点を1つひとつ潰していき、知識の補足をカバーしていきましょう。

まとめ

今回は、新たに追加されたソフトウェア管理に焦点を当てて、電気通信主任技術者試験の勉強方法について、以下のような観点で解説してきました。

・電気通信主任技術者という仕事

・電気通信主任技術者試験の科目変更について

・難易度の高い電気通信主任技術者試験

・ソフトウェア管理の対象範囲

・計画的な学習を必要とする電気通信主任技術者試験

・合格するためには反復学習が基本

ソフトウェア管理はかなり専門性の高い分野になるために、かなり時間をかけて勉強する必要がありますが、電気通信主任技術者試験そのものの範囲が広いために、過去問を反復練習的に繰り替えし解いていくことが、最も基本的な手法になってきます。

これから受験を考えている人は計画的にスケジュールを立ててが、取り組んでいくようにいたしましょう。

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