この記事では、1級電気通信工事施工管理技術検定の試験概要と、資格取得のメリットをご紹介します。試験の改定内容についても詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください!
私たちの生活を支える通信インフラ。その通信設備に関する施工管理業務を行うのが「電気通信施工管理技士」です。「電気通信施工管理技術者検定」に合格することで、電気通信施工管理技士となることができます。
「電気通信施工管理技術者検定」は、2019年に新設されました。検定の1級は最上位資格で、電気通信に関わる技術者であれば取得したい資格です。
スタートして間もない資格でもあり、2021年には試験の改定もありました。資格取得を考えている方は、改定の内容も気になるのではないでしょうか?
電気通信工事施工管理技術検定とは
電気通信工事施工管理技術検定とは、2019年に新設された国家資格です。合格すると、建設業法上の営業所における専任の技術者として従事することができます。検定には、1級と2級の2種類があります。
1級と2級の違い
1級と2級は、それぞれの資格で従事できる現場の規模が異なります。
2級資格で従事できるのは、中小規模の電気工事を請け負う一般建設業のみです。一般建設業の営業所ごとに配置する「専任の技術者」と建設工事における「主任技術者」として認められます。
一方1級資格では、一般建設業に加えて、総額4000万円以上の電気工事を請け負う特定建設業にも従事することができます。特定建設業の営業所ごとに配置する「専任の技術者」と現場に配置する「監理技術者」として認められます。
1級電気通信工事施工管理技術検定の改定
1級電気通信工事施工管理技術検定は、2021年度より制度が改定され、新制度となりました。改定内容について以下で説明します。
試験構成の変更
旧制度では「学科試験」と「実地試験」で構成されていましたが、新制度では「第一次検定」と「第二次検定」になりました。
第一次検定と、第二次検定では、以下が問われます。
・第一次試験:施工技術のうち基礎となる知識及び能力を有するかどうかを判定・第二次試験:施工技術のうち実務経験に基づいた技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力を有するかどうかを判定 |
称号付与の変更
旧制度では学科試験と実地試験に合格してはじめて「1級技士」の称号が与えられました。
新制度では、第一次検定に合格すると「1級技士補」の称号が与えられます。さらに第二次検定に合格すると、「1級技士」の称号が与えられます。
受験資格の変更
旧制度では、1級資格の受験には、実務経験が必要でした。新制度では、実務経験が不要となり、2級の第二次検定に合格していれば、1級の第一次検定を受験することが可能となりました。
また受験期限もなくなり、第一次検定に一度合格すると、無期限で第一次検定が免除されるようになりました。
試験内容の変更
旧制度では、学科試験は知識問題、実地試験は能力問題で構成されていました。新制度では、第一次検定と第二次検定どちらも、知識問題と能力問題が問われるようになりました。
1級電気通信工事施工管理技術検定の試験概要
試験スケジュール
令和4年の試験日程は、以下の通りです。
第一次検定 | 第二次検定 | |
試験申し込み | 5月上旬~5月下旬 | 5月上旬~5月下旬 |
試験日 | 9月上旬 | 12月上旬 |
合格発表 | 10月上旬 | 3月上旬 |
第二次検定のみ受験する場合でも、第一次検定と同じ時期に申し込みが必要なため、注意が必要です。
感染対策対応で日程が変更となる可能性があります。詳細は公式サイトで確認しましょう。
試験場所
全国各地で試験が行われています。
第一次検定
札幌、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇の12地区
第二次検定
札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10地区
受験料
受験料は、第一次検定、第二次検定ともに、13,000円です。
受験区分
受験区分は3つに分かれています。
受験区分 | 該当者 |
第一次検定・第二次検定 | 電気通信工事の施工管理業務に従事した実務経験を積み、所定の受検資格を満たした人。 |
第二次検定のみ | 第一次検定・第二次検定の受検資格を満たし、かつ第一次検定免除資格を有する人。 |
第一次検定のみ | 2級電気通信工事施工管理技術検定に合格した人。 |
試験科目
第一次検定の試験科目は3つです。
・電気通信工学等・施工管理法・法規 |
第二次検定の試験科目は1つです。
・施工管理法 |
それぞれ以下の知識、能力が問われます。
電気通信工学等
・電気通信工学、電気工学、土木工学、機械工学及び建築学に関する知識
・有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備等に関する知識
・設計図書に関する知識
施工管理法
・施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識
・施工の管理を行うために必要な能力
法規
・建設工事の施工に必要な法令に関する知識
施工管理法
・監理技術者又は主任技術者として、施工の管理を行うために必要な知識
・監理技術者又は主任技術者として、設計図書で要求される電気通信設備の性能を確保するために設計図書を理解し、電気通信設備の施工図を作成し、必要な機材の選定、配置等を行うことができる応用能力
1級電気通信工事施工管理技術検定は、スタートしてから間もない資格です。他の資格と比べて過去問が少なかったり、試験内容の改定もあるため学習には注意が必要です。
また、試験では記述式の問題も出題されます。記述式の場合、選択式の問題のように適当に回答を選ぶことができません。そのため、なんとなく分かっているといった程度の知識では通用しない試験でもあります。試験を突破するためには、必要な知識を正確に理解し、簡潔に説明する力が必要です。
合格基準
試験の合格基準は、下記の通りです。
試験項目 | 合格基準 |
第一次検定(全体) | 60%以上の得点 |
第一次検定(施工管理法) | 40%以上の得点 |
第二次検定(全体) | 60%以上の得点 |
合格率
2019年度から2021年度までの合格率は以下の通りです。
試験 | 第一次検定(旧学科試験) | 第二次検定(旧実地試験) | ||||
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年 | 13,538 | 5,838 | 43.1% | 5,781 | 2,860 | 49.5% |
2020年 | 8,532 | 4,190 | 49.1% | 6,707 | 3,307 | 49.3% |
2021年 | 8,076 | 4,730 | 58.6% | 6,147 | 1,852 | 30.1% |
初実施の2019年度から、第一次検定の合格率は年々上昇しています。一方で、第二次検定の合格率は下がっています。
合格率は50%前後となっており、決して簡単な試験ではないことがわかります。しっかり対策を行った上で、試験にのぞむことが大切です。
1級電気通信工事施工管理技術士の資格を取得するメリット
現場に必要な専任の技術者として認められる
建設業法では、営業所ごとに専任の技術者の配置が義務づけられています。電気通信工事施工管理技士の資格を取得することで、この専任技術者として登録ができます。
1級を取得すると、主任技術者、専任技術者だけでなく、監理技術者として認められます。
監理技術者は、元請けの特定建設業者が総額4000万円以上、建築一式の場合は6000万円以上の下請契約を交わした場合、現場に配置が義務づけられています。大規模な現場では、有資格者の存在が欠かせません。
監理技術者という重要な立場で仕事に従事できるようになるということも、資格取得のメリットです。
技術者としての知識やスキルを証明できる
電気通信工事に携わる上で、通信工事に関する技術はもちろんのこと、現場の適切な判断、安全管理など多くのことを知っている必要があります。資格を取得することで、技術者としての知識や、スキルを客観的に証明することができます。
転職やキャリアアップで有利になる
建設業法では、現場への有資格者の配置が義務づけられています。資格を持っている人間がいないと、工事の受注ができません。そのため、有資格者は重宝される存在です。資格を取得することで、転職やキャリアアップで有利になります。
年収アップの可能性がある
資格を取得することで、社内の評価アップや昇給につながるチャンスになります。資格取得による報奨金や、資格手当がもらえる企業もあります。資格取得によって、年収アップも期待できます。
まとめ
1級電気通信工事施工管理技術検定の試験概要と、資格取得のメリットをご紹介しました。
電気通信工事施工管理技術士の資格は、建設業法で配置が義務づけられている専任の技術者として認められる資格です。現場では有資格者の存在が欠かせません。
資格取得により、スキルの証明や、転職のアピールポイントになります。現在、電気通信工事の仕事に従事している人も、資格を取得することで、年収アップや、仕事の幅を広げるきっかけになるでしょう。
5GやIoTの普及等により、今後も電気通信工事の需要が増えていくことが期待されます。そのため、1級電気通信工事施工管理技術検定は、これからも必要とされる資格であるといえます。
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