営業職は、自分の頑張りに応じて給料を上げることができ、成果を上げることができれば出世も早くなることから、正当な評価を受けたいと思っている人や高い給料が欲しいと思っている人は営業職に転職する傾向があります。
しかし、営業職と言っても誰でも転職できるわけではありません。
営業職に転職するには、過去に営業職としてそれなりの実績を上げている、もしくは会社として必要なスキルを持っている、営業職としてやっていけるポテンシャルがある人など、ある程度限られてしまうのが事実です。
そして、このような定性的な部分を自分で変えていくのは、なかなか難しいでしょう。
しかし、資格のように定量的な部分であれば、自分の努力次第で取得することが可能です。
そこで、この記事では営業職に転職する際に役に立つとされる資格や、営業職に転職した際に評価されやすい資格について紹介していきます。
それではみていきましょう。
営業に転職する際に役に立つ資格5選
営業に転職する際に役に立つ資格には、以下のものがあります。
- 営業士
- セールスレップ
- 販売士
- 中小企業診断士
- 消費生活アドバイザー
営業士
営業士は、マーケティング・セールスのスペシャリストであることを証明するための資格です。
一般社団法人日本販路コーディネータ協会が実施している民間試験になり、営業士初級、営業士上級、営業士マスターの3つの資格に別れているので、自分のレベルにあった資格を取得することが可能です。
営業士で出題される内容は、営業のなかでもマーケティングセールス部分が中心になります。
基礎的な営業業務の部分から管理の部分、マネジメントなど営業職としてプレイヤーレベルでの活躍だけではなく、マネージャーレベルでの活躍も期待できる資格になっているのが特徴でしょう。
そのため、営業職に転職したいと思っている場合は、営業士の資格を取得しておくと評価の対象になる可能性もあります。
セールスレップ資格認定制度
セールスレップ資格認定制度とは、日本セールスレップ協会が実施しているセールスレップに関する資格のことです。
セールスレップとは、独立自営の事業主のことを指し、複数メーカーの商材を取り扱い、クライアントに対して、提案型の販売を行う者のことと定義されているので、営業代行などとイメージは近いでしょう。
そして、セールスレップ資格認定制度はプロのセールスレップであることを証明するための資格で、営業戦略、販売促進戦略の基礎知識の習得や営業および販売活動におけるマーケティングの基礎知識の習得、メーカーと販売先の橋渡しに必要なスキルの理解、マーケティングに基づく科学的活動計画策定方法の理解などを客観的に示すことができる資格です。
そのため、セールスレップ資格認定制度は営業に関する基礎的な部分を網羅的に理解していると認定される資格と言っても過言ではありません。
また、セールスレップ資格認定制度を実施する日本セールスレップ協会は、経済産業省認可(関産認協1875号)のセールスレップ・販路コーディネータ協同組合の認可団体として活動しているという背景があるのも安心でしょう。
販売士
販売士とは、一般社団法人日本販売士協会が実施する小売営業に特化した資格試験です。
また、販売士は小売業の営業職だけに特化するのではなく、小売業全体の業務に特化している資格なので、小売業で今後起業したい人や小売業で勤務したいと思っている人にはおすすめの資格になります。
販売士では、「多様化・高度化した顧客のニーズを的確に捉え、豊富な商品知識や顧客に配慮した接客技術を武器としてニーズにあった商品を提供するとともに、商品の開発や仕入、販売、物流などを効率的かつ効果的に行うことができる」と公式サイトにも記載されています。
そのため、今後小売業界で勤務したいと思っている人や小売業界で個人を相手にショップ店員などの形で営業を行っていきたい人にはおすすめです。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家を認定する資格のことで、国家資格とされています。
登録に当たっては、中小企業支援法第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
中小企業診断士は、コンサルタントと言われる職業で評価されることが多い資格なので、コンサルティング営業などを行っていきたい場合は中小企業診断士が評価される可能性が高いです。
特に、経営コンサルティングなどでは中小企業診断士が評価されることが多いので、営業と実際の相談作業を同じ人が行う場合が多い経営コンサルティング企業に就職・転職したい場合は、中小企業診断士を取得するのがおすすめになります。
また、中小企業診断士を取得することで営業からコンサルなどキャリアを変えることも可能なので、営業職としてだけではなく営業職にプラスしてキャリアを拡大したいと思っている場合は、中小企業診断士を取得するといいでしょう。
消費生活アドバイザー
消費生活アドバイザーは、内閣総理大臣及び経済産業大臣の事業認定資格で、日本産業協会が実施している資格試験です。
消費生活アドバイザーは、「消費者と企業や行政の架け橋として、消費者からの提案や意見を企業経営ならびに行政等への提言に効果的に反映させるとともに、消費者の苦情相談等に対して迅速かつ適切なアドバイスが実施できるなど、幅広い分野で社会貢献を果たす人材を養成することを目的としている」と公式サイトには記載されています。
この説明だけを見ると、消費生活アドバイザーと営業職の結びつきが薄いように感じる人もいるかもしれませんが、営業職ではお客様に信頼していただくことが最優先になります。
そして、信頼してもらうには会社の利益だけのために営業をしているのではなく、何かあった場合に相談できる、信用に値する人物であるとお客様に認識してもらう必要があるでしょう。
その際に、消費生活アドバイザーを取得しておくことで、お客様に信頼感を持ってもらいやすいです。
業界別に転職の際に評価されやすい資格を紹介
営業職として評価される資格は業界によって大きく異なります。
これは業界によって必要とされるスキルや業務内容、営業手法が大きく異なるためです。
そこで、ここでは営業職として人気の高い保険営業、不動産営業でそれぞれ必要になる資格や評価されやすい資格について紹介していきます。
保険営業で役に立つ資格には、以下のものがあります。
- 生命保険募集人
- ファイナンシャルプランナー
- アクチュアリー
生命保険募集人
生命保険募集人は、生命保険販売人の統一コンプライアンスを確立するために設けられた制度です。
生保協会が主導をしている民間資格で、基本的には生命保険募集人でないと生命保険の販売を行うことはできません。
そのため、保険業界に転職したい場合は、生命保険募集人を取得しておくといいでしょう。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、資産形成や資産運用におけるアドバイスができる資格のことです。
保険のみではなく、金融資産などを含めてお客様の将来設計に向けたアドバイスができるのが大きな特徴になります。
そして、保険業界に転職する際にはファイナンシャルプランナーを取得している人の方が評価されやすいです。
これは、ファイナンシャルプランナーを取得していることでお客様に包括的な資産形成をお手伝いできるためです。
また、会社によってはファイナンシャルプランナーを社員に必須で取得させる保険会社や保険代理店もあります。
アクチュアリー
アクチュアリー は、保険数理士とも言われる資格のことで、確率や統計などをもとに保険制度の設計などを行うために必要な資格です。
アクチュアリーは、簡単に取得できる資格ではなく、理系の大学院卒の人などが数年かけて取得する資格になります。
一方で、アクチュアリーは保険を設計する上ではなくてはならない職種なので、保険業界においてはアクチュアリーを持っているだけで採用される可能性が高くなります。
また、会社によってはアクチュアリー取得者に毎月10万円以上の手当を支給している会社もあり、これだけ需要の高い資格とも言えるでしょう。
不動産営業で役に立つ資格
不動産営業で役に立つ資格には、以下のものがあります。
- 宅地建物取引士
- マンション管理士
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格のことで、土地に関する契約業務ができる資格のことです。
宅地建物取引士を持っていないと営業活動しかできず、そのなかでもさまざまな制限が出てきてしまうので、転職組として不動産業界に転職したい場合は、宅地建物取引士を取得していないとそもそも書類の段階で落とされてしまう可能性もあります。
一方で、宅地建物取引士は取得難易度がそこまで高くなく、学生であっても取得することができる資格です。
そのため、不動産業界未経験で不動産営業に転職しようと思っている場合は、宅地建物取引士を取得した上で、自分のやる気や業務遂行能力を評価してもらうのがいいでしょう。
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの管理組合運営などで必要になる資格です。
不動産業界でも、不動産管理会社の営業職に転職する場合は、マンション管理士を持っていることで業務への理解を客観的に示すことができます。
マンション管理士を取得していることで修繕計画の立案など営業だけではなく、管理の部分での業務に関わることもできるので、営業だけではなく管理などバックオフィス系の仕事で働きたい場合にもマンション管理士はおすすめです。
まとめ
営業に転職する際には、資格を持っている方が有利になることが多いです。
そのため、未経験から営業職に転職する場合は特に資格をしておくといいでしょう。