種苗営業は、農学部出身者や農業系の高校、専門学校出身の人に人気の職業の一つです。
そこで、この記事では、将来的に種苗営業の仕事に就きたいと思っている人に向けて、種苗営業の求人がオススメな人や、種苗営業の求人の仕事内容、また種苗会社の将来性について詳しく紹介していきます。
それではみていきましょう。
種苗営業の求人の仕事内容とは?
種苗営業の求人の仕事内容は、以下の3つです。
- 種苗販売店営業
- 施設営業
- 海外営業
種苗販売店営業
種苗営業でメインになってくるのが、種苗販売店に対しての営業です。
種苗販売店への営業の場合、ルート営業になることが多いでしょう。
具体的には、取引のある種苗販売店に今まで販売していた種子を追加で卸したり、新しく開発した種子や苗を売り込むための営業です。
また、種苗営業のなかでも種苗販売店営業では、実際に現場で売れている種苗について調査をするという仕事もあります。
そのため、ただ種苗販売店に対して自社の種苗を販売するだけではなく、他社製品を含めてどのような需要があるのか、ターゲットに対して営業を行うにはどのようなマーケティング手段が有効なのかを分析することも多いです。
種苗販売店営業では、ルート営業がメインになっていくので、営業のなかでも比較的負担が少ない営業と言えるでしょう。
このように、種苗営業でも種苗販売店営業がルート営業になりやすいのは、販売先の種苗販売店の数がそもそも限られているという背景もあります。
つまり、種苗販売店の絶対数が多くないので、結果的に新規獲得営業よりルート営業の方が多くなりやすくなるということです。
施設営業
種苗営業の中には、施設営業と言われる営業もあります。
施設営業では、植物の種子や苗などを牧場や農業施設に販売していくのがメインの仕事です。
これらの施設の場合は、飼料などで大量に種子や苗が必要になります。
そのため、施設営業では大規模納入を実現するための営業方法になるでしょう。
施設営業では、一般的な営業とは違い大きいロットで種子や飼料を販売していくのがメインになるため、スーツを着て営業するのではなく、農作業着を着て営業していくような泥臭い営業になります。
一方で、施設営業の場合は、農家や農業、畜産業などと近い位置で営業ができるので、種苗営業の中でもよりお客様に近い位置で営業したいと思っている人には、オススメの営業方法です。
施設営業の場合は、地方での勤務が多くなりやすく、大規模な農地や牧草地がある北海道などでの勤務になりやすいでしょう。
海外営業
種苗営業の中では、海外営業と言われる営業もあります。
種苗会社の海外営業では、自社で開発した種子や苗を海外に販売していくこと、海外への販路を広げることがメインの仕事です。
海外営業では、先進国のみではなく発展途上国への営業もあります。
また、営業先も海外の種苗販売店だけではなく、海外の大規模農業施設や政府に対して農業支援政策の1つとして自社の種子や苗を売り込むことも多いです。
特に、発展途上国の場合は環境などが先進国と違うこと、また農作物の生産に対してかけられる時間や労働力、機械が異なることから、日本などの先進国とは異なる発展途上国の環境に最適化された種子や苗が求められます。
そのため、種苗会社ではこれらの国でも育ちやすい種子や苗を開発していることが多いです。
そして、海外営業ではこのように開発された種子や苗を営業を通して、必要としている国に販売するのが主な仕事になります。
また、種苗会社のなかには発展途上国への農業サポートを行っていることも多いです。
そこで、種苗会社の海外営業の一環で、現地での農業サポートも一緒に行うことがあります。
このようなサポートをして発展途上国の経済発展などを担っているケースもあるでしょう。
そのような背景から、種苗営業の中でも海外営業はただ種子や苗などのモノを売るだけではなく、その国の経済や農業、畜産業を発展させるために大きな貢献をしているという意識のもと働くことができます。
種苗営業の求人がおすすめな人
種苗営業の求人がおすすめな人は、以下のような人です。
- 農学部など農業に興味がある人
- 人との関係を維持するのが得意な人
- 外回りに抵抗感がない人
農学部など農業に興味がある人
種苗営業では、営業職であっても農業や畜産業に対して一定の知識が求められます。
これは、自社の種子や苗を販売する先が農業や畜産業に関係しているところで、それらの販売先に対して適切なアドバイスや商品の説明をするためには、農業や畜産業、それに付随する部分に対して一定の知識が必要なためです。
そのため、種苗会社の場合、営業職であっても文系出身者ではなく、農学部出身者や農業高校出身者、農業系の専門学校出身者が多くなっています。
人との関係を維持するのが得意な人
種苗営業の求人に応募するのが、おすすめな人には人との関係を維持するのが得意な人が挙げられます。
種苗会社の営業職は、新規開拓営業でなくルート営業です。
さらに、種苗販売店の数も限られている中で、それらの販売店と関係を維持して、種苗販売店に対して継続的に商品を納入し続けることが必要になります。
そのような背景から、種苗営業の求人に応募して活躍したいと思っている場合、人との関係を維持することが得意な人にはおすすめです。
外回りに抵抗感がない人
種苗会社の営業の求人は、外回りの営業に抵抗がない人にもおすすめです。
種苗会社の場合、インサイドセールスや内勤営業ではなく、基本的には外回りをして販売店や施設に対して種子や苗を販売して行きます。
このような営業のなかで、体力的に辛いと感じてしまう人もいるでしょう。
そのため、種苗営業では体力に自信があり、外回りの営業をすることに抵抗感がないことが必要です。
種苗会社の将来性とは?
種苗会社の将来性は比較的明るいと言えるでしょう。
種苗会社で聞くと、どうしても販売するターゲットが狭く、ニッチな業種であり将来性がないのではと思われることも多いです。
しかし、種苗会社で販売しているのは農業に必要なもので、農業の需要は今後少なくても数十年は変わらず存在するでしょう。
このような背景から、種苗会社の将来性もある程度確保されていると言えます。
また、日本で販売することが出来なくても、海外に販路を広げることで自社製品を販売していくことは可能です。
一方で、種苗会社の会社単位で見ると資金面で苦しくなり、中小の種苗会社の場合、大企業に買収される可能性があるのも事実です。
このように、資金繰りなどの面で会社経営が上手くいかなくなる可能性は一定数あるでしょう。
ただし、種苗会社や種苗に対しての需要は、今後も一定数存在し続けると考えることができます。
種苗営業の求人への転職が難しい理由
種苗営業の求人への転職が難しい理由は、以下の3つです。
- 市場規模が大きくない
- 新卒社員で占められることが多い
- 専門的な知識が必要になる
市場規模が大きくない
種苗営業の求人を見つけたとしても、転職や就職するのが難しい理由の一つに、市場規模がそもそも大きくないことが挙げられます。
種苗会社の市場規模は、農林水産省の調べによると2600億円程度です。
比較として自動車業界をあげると、自動車業界の市場規模は57兆円になっています。
これを見ると、種苗産業の市場規模が小さいことが分かるでしょう。
このように、種苗会社の市場規模は非常に小さいことから、人材の流動性が活発ではなく、結果的に種苗会社の営業求人がでること自体が珍しいとも言えます。
また、種苗営業の求人がでたとしても、その求人に応募したい人も一定数いることが想像できるので、求人に応募しても採用されない可能性が高いと言えるでしょう。
新卒社員で占められることが多い
種苗営業の求人に応募しても採用されるのが難しい理由の一つに、新卒社員が多いことがあげられるでしょう。
種苗会社の多くが昔から存在している企業であり、日本の伝統的な企業形態を踏襲しているところが多いです。
そのような背景からキャリア採用がメインではなく、基本的には新卒から育て上げるという意識が強くなっています。
実際に、業界最大手のサカタのタネでは新卒採用数を16〜20名としている一方で、キャリア採用はそもそも募集をしていません。
このように、種苗営業のキャリア採用の求人はそもそも出る機会が少ないとも言えるでしょう。
また、たとえキャリア採用の求人がでて、応募したとしても採用される可能性は小さいです。
これは、大手の種苗会社の場合、人材不足からキャリア採用を実施するのではなく、知識や経験のある人だけを採用したいという意図があるためです。
つまり、キャリアやスキルがない人がいない場合は、採用しない可能性もあるということになります。
そのため、未経験などの場合はそもそも採用される候補に当てはまっていないということも多いです。
このような背景から、種苗営業として働きたい場合は、新卒採用時の求人に応募するのが一番可能性が高いと言えるでしょう。
一方で、大企業ではなく地域の種苗販売店などの場合は、人材不足から求人が出ていることも多く、それらの求人に応募することで採用される可能性は高まるとも言えます。
このように、種苗営業の求人に応募する際には、種苗販売店で営業をするのか、それとも種苗を開発しているメーカーで営業するのかを選ぶのかで、難易度が異なるでしょう。
専門的な知識が必要になる
種苗営業の求人に転職するのが難しい理由の一つに、専門的な知識が必要になることが挙げられます。
種苗営業の場合、農業の知識や畜産業の知識だけではなく、業界を取り巻く背景知識を知っておくことも重要です。
そして、これらの知識がないと種苗の営業をしても効果的な説明ができないことも多いでしょう。
実際に、種苗販売店や種苗メーカーの種苗営業担当者が営業をして行く先は、農業や畜産業の専門家になります。
正確な知識と経験を持っていないと信用されることが難しく、営業先に信頼されないと販売している種苗も販売しにくいでしょう。
そのため、種苗販売店や種苗メーカーの中途採用の求人に応募する際には、ある程度の知識と経験を持っていることが前提になるとも言えます。
まとめ
種苗営業の求人を探すのは難しいのも事実です。
種苗営業の求人に応募したい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。