電気通信工事の資格と仕事内容とは?

近年の通信技術の発達は早いです。現在5Gが広がりつつありますが、既に6Gの研究開発も始まっています。スマートフォンはだれもが使用する生活に欠かせないものとなりました。今回はスマートフォンなどの使用に欠かせない電気通信工事に必要な資格や仕事内容などを紹介します。

1.電気通信工事とは

電気通信工事とは情報通信に必要な工事です。たとえばパソコンにつないでいるLANケーブルの配線やスマートフォンを使用するためのWi-Fi設置などです。私たちの生活には欠かせない工事です。

2.電気工事と電気通信工事の関係

電気工事にはおもに「保安にかかわる工事」と、「外線工事」「内線工事」があります。保安にかかわる工事とは電気を安全に運用するための工事です。外線工事は発電所や変電所から電柱までの工事で電柱の新設や電線の張り替えなどをおこないます。

内線工事は建物へ電気を引き込み、コンセントを通じて電気が使用できるようにする工事です。

内線工事には設備機器の設置工事もふくまれます。電気通信工事はそのなかで情報通信にかかわる設備や機器の設置工事をおこないます。通信設備には以下の4つがあります。

・有線電気通信設備

・無線電気通信設備

・放送機械設備

・データ通信設備

3.電気通信工事に向いているひとの特徴

3.1向上心がある

インターネットをはじめとする近年の通信技術の進歩はとても早いです。つねにアンテナを張って最新の技術をキャッチし、新技術を勉強する向上心が必要になります。

3.2慎重さがある

電気工事はこまかい作業を正確におこなう必要があります。

こまかい作業を正確におこなうには慎重さとていねいさが欠かせません。

3.3高いところがこわくない

電気工事は高所での作業もあります。高いところに登ってこわいと感じると作業に影響します。高所でも落ち着いたふだんどおりの仕事がもとめられます。

3.4チームワークを大切にする

電気工事は安全を確保するために1人ではおこないません。必ずチームでおこないます。それぞれが役割をはたし、連携することで1つの工事が完成します。個人の技術も必要ですが、1人では成り立たないのが電気工事です。

4.電気通信工事に必要な資格

4.1電気通信主任技術者

通信ネットワーク工事をおこなうための国家資格です。通信設備の維持・管理・運用の責任者です。資格は2つに分かれています。

・伝送交換主任技術者資格者

『 電気通信事業の用に供する伝送交換設備及びこれに附属する設備の工事、維持及び運用※』

・線路主任技術者資格者

『電気通信事業の用に供する線路設備及びこれらに附属する設備の工事、維持及び運用※

伝送交換主任技術者は電気通信設備を工事し、線路主任技術者は信号の通り道であるケーブルなどを工事します。

※引用元:電気通信主任技術者とは?

4.2工事担任者

電気通信の工事担任者は電気通信回線に端末設備※1又は自営電気通信設備※2の接続工事をおこなうための国家資格です。

※1端末設備とは電話やパソコンなどの通信機器です。

※2自営電気通信設備とは電力会社や鉄道会社等の自営通信システムなど端末設備以外のものであって、電気通信役務の提供に用いるものではない電気通信設備を指します。

参照:利用者が接続する端末設備等の 接続の技術基準について

5.電気通信工事の仕事内容

電気通信工事のおもな仕事を7 つ紹介します。

5.1LAN工事

インターネットを使用するための工事です。限定エリア内でのネットワークを構築します。LANを構築することでエリア内の機器は情報を共有できます。LANには有線LANと無線LANの2つがあり、有線LANはLANケーブルを配線します。無線LANの代表的な規格にはWi-Fiがあり、Wi-Fiルーターの設置もおこないます。

5.2光回線工事

住宅やマンションなどで光回線インターネットを使用するために必要な工事です。ちかくの電柱から建物内へ光ファイバーケーブルを引き込みます。室内の光ケーブル用のコンセント工事とHGW(ホームゲートウェイ)の設置もおこないます。

5.3電話工事

住宅やマンションなどで電話を使用するために必要な工事です。ちかくの電柱から電話線を建物内へ引き込み電話機に接続します。オフィスで内線電話を使用する場合にはPBX(構内交換機)の設置をおこないます。

5.4基地局工事

スマートフォンなどのモバイル端末に効率よく電波を届けるための基地局の設置工事です。あらゆる場所で安定した通信ができるよう基地局の新設と保守・改修をおこないます。基地局には屋外基地局と屋内基地局の2つがあります。

5.5テレビ共聴設備工事

マンションなどの集合住宅の各住居でテレビを見られるようにする工事です。電波の届かない山間部や構造物による電波障害エリアへの共同アンテナの設置もおこないます。

5.6放送設備工事

病院や学校など人が集まる建物でコミュニケーションや情報伝達をおこなうための放送設備工事です。放送設備には非常放送設備と一般業務用放送設備の2種類があり、一定以上の収容人数のある建物には設置が義務付けられています。

5.7弱電設備の設置工事

住宅のインターホン・防犯カメラなどの画像通信設備や病院のナースコールの設置も仕事の1つです。

6.電気通信工事のやりがい3つ

6.1最新技術にふれられる

世界のIoTデバイスの数はスマートフォンの普及をはじめ年々増加しています。生活家電がスマートフォンと連動するようになり、自動車や医療機器もIoT化が進められています。米国でのICTへの投資額がここ30年で急増していることからも今後ますますの技術発展が見込まれます。

6.2転職に困らない

2020年から利用が開始された5Gによる通信インフラの超高速・大容量化は身の回りのあらゆ るモノがネットワークにつながるIoT時代の基盤になると期待されています。IoTの広がりにより電気通信工事の需要は今後も高まっていくと考えられます。

6.3社会に必要とされていることを実感できる

スマートフォンの普及率は8割を超え、電気通信は生活に欠かせないものになりました。身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる現在では自身の仕事の成果を目に見える形で実感できます。

7.電気通信工事のつらいところ3つ

7.1おぼえることが多い

技術の進歩が早いと技術者はおぼえることが増えます。常にアンテナを張り業界の最新技術を勉強する必要があります。技術は現場に出て経験を積むことで上達しますが、学んだ知識を使えるようになることや現場での判断基準など経験の浅いうちは学ぶことが多くて大変です。

7.2体力が必要

工事現場では基本的に立ちっぱなしです。工具を持って動き回る必要もあります。野外での高所作業は天候との戦いです。雨が降ったり、夏は熱中症に注意する必要があります。工事の準備では機材の搬入があり、さまざまな場面で体力が必要です。

7.3はたらく時間が不規則

工事には守らなければならない工期があります。建設現場など複数の業者がかかわる工事では計画どおりに作業が進まないことも増えます。トラブルで計画が遅れると、工期を守るために休日や夜間に仕事をすることも必要です。修理や点検工事には設備を停止する必要があります。設備の停止は人々の生活に影響を与えない深夜や休日であることが多いです。

8.電気通信工事業界の将来性

5Gの普及は各分野におけるデジタル化を促進します。

ローカル5GやIoTの広がりにより今後も電気通信工事の需要は高まると考えられます。2030年を目標に5G基地局の整備が進められます。5Gには携帯電話事業者による全国的な5Gとローカル5Gと呼ばれる地域の企業や自治体が自らの建物や敷地内で自営のネットワークを構築できる仕組みがあります。ローカル5GはIoTの普及を促進します。総務省の令和3年版情報通信白書では世界のIoTデバイスの数は2020年の253億台から2023年には340億台へと毎年の増加が予想されています。

特に成長が見込まれる分野は『デジタ ルヘルスケアの市場が拡大する「医療」、スマー ト家電やIoT化された電子機器が増加する「コンシューマー」、スマート工場やスマートシティが 拡大する「産業用途」(工場、インフラ、物流)、 コネクテッドカーの普及によりIoT化の進展が見 込まれる「自動車・宇宙航空」である※』とされており、スマートフォンやパソコンはもちろんのこと身の回りのあらゆるモノがネットワークに接続される時代の準備が進められています。

※引用元:情報通信白書令和3年版

9.まとめ

電気通信は人々の生活に密着する欠かせないものになりました。広がる5GとIoTに電気通信工事は欠かせません。電気工事にはさまざまな資格があり、現場で経験を積むことでステップアップが可能です。技術進歩の速さゆえにおぼえることが多く、また体力も必要となる大変な面もありますが、今後のさらなる技術の進歩とともに電気通信工事技術者の需要の高まりが期待されます。

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