電気通信主任技術者試験の過去問は何年分やれば合格できる?

電気通信事業者は、電気通信設備を正しく維持・管理するために電気通信主任技術者を設置することが義務付けられています。

国家資格であることと試験難易度も高いことから、合格すれば電気通信業界からの需要も期待できる資格です。

しかし、実際に資格取得を狙うことが決まったもののどのような対策を行うべきか分からない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、電気通信主任技術者試験の概要から担当する電気通信工事の主な業務などを総合的に解説します。

・電気通信主任技術者試験の合格を目指している

・電気通信主任技術者を目指すのは良いが効率良い勉強法が知りたい

・電気通信主任技術者の取得が目指すキャリアに近いかを確認したい

このような方は、ぜひご覧ください。

電気通信主任技術者とは?

電気通信主任技術者とは、事業用電気設備の監督者を指しています。

事業用電気通信設備の工事から、設備の維持・運用に関わることが監督者の役割となるのです。

電気通信事業法に則ると、事業用電気通信設備の工事を行う場合には、電気通信主任技術者を選定しなければなりません。電気通信主任技術者としてふさわしい知識・スキルがあるかを証明できる資格として電気通信主任技術者試験があります。

電気通信主任技術者資格の需要と将来性は?

将来的に見ても電気通信主任技術者の需要は拡大していくことが予想されています。

理由としては、電気通信工事に関わる労働人口が高齢化することで、ロボットなどの機械による省人化が進んでいきます。近年はドローン・3次元データの利用から建設機械の自動運転なども広がりを見せることが予測されており、電気通信業界で全体を指揮できる人材が求められているのです。

また、2024年4月から、電気通信関連の業界でも時間外労働の上限が設定されます。

月45時間かつ年360時間が上限となり、何時間でも残業はできなくなるのです。

このことから1つの現場を任せられる電気通信主任技術者は、より業界からの需要が高まると予測されています。

電気通信主任技術者の仕事内容とは?

電気通信主任技術者の仕事内容は「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」に大別することができます。

伝送交換主任技術者

伝送交換主任技術者は、伝送交換設備の工事・維持管理・運用の責任者として活躍します。

主に以下の業務に分けられるのです。

電気通信事業用伝送交換設備工事の現場管理業務

ネットワーク接続数、端末数、サーバ数とトラフィック条件など負荷に関連する利用要件を管理します。

工程管理では手順・手法の管理や情報漏洩に関するリスク管理のほか、品質管理では「PDCAサイクル」での管理が主な役割です。

<h4>電気通信事業用伝送交換設備の運用管理</h4>

伝送交換設備の維持・運用・予防保全・安全・信頼性対策の運用管理が主な仕事です。そのほかにもシステム障害を予兆する設備のリモート管理、通信が停滞しないようなトラフィック制御の管理を行います。

線路主任技術者

線路主任技術者は、通信ネットワークの工事・維持管理・運用の責任者です。

主に以下の業務を担当します。

電気通信事業用線路設備の現場管理業務

通信ネットワーク工事の計画・工程管理・品質管理・安全管理が主な現場業務です。

リング型・メッシュ型などのノード・リンクの組み合わせを管理します。

そのほかにも手順と作業がスムーズに進むための管理と、現場での事故防止から働く人の健康や衛生について管理するのも仕事です。

電気通信事業用線路設備の運用管理

運用ネットワークの維持・運用・予防保全・安全・信頼性対策の運用管理が仕事です。

運用においては、業務の責任者の明確化などアウトソーシング管理と情報漏洩対策のリスク管理を行います。

予防保全では、通信ネットワークの正常性・スピードなどの評価/分析を行うのです。

安全・信頼性対策では通信ネットワークの災害対策や安全性について管理します。

電気通信主任技術者から目指せるキャリア

電気通信主任技術者は、電気通信に関連するスキル的な側面と、チーム全体を管理する人材管理的な側面に分けられます。もしも施工管理系を目指したいのであれば知識・技能などを学ぶ必要はありますが、人材管理についてはそのまま能力を生かすことが可能です。

管理する業務内容は異なるものの、同じ現場監督者であるという点から知識・技能をカバーすることができれば十分に目指したいキャリアを達成することは可能と言えるでしょう。

電気通信工事の主な5つの業務とは?

次に、電気通信工事における主な業務を解説します。

携帯電話基地局の設置

携帯電話・スマートフォンをストレスなく利用するためには、携帯電話の基地局の設置が重要になります。

この基地局設置は電気通信工事の1つです。

具体的な仕事として、屋外や屋内への基地局設置、電波状態が悪い地域の解消と通信試験、アンテナや無線設備の機器の設置などがあります。

放送・音響設備の設置

公共施設・学校・病院など、建物や施設で情報を伝達するための放送設備や音響設備の設置・整備に関わる工事も担当します。

日常の業務放送整備、非常放送整備、舞台・劇場での音響設備、会議室での放送設備などに関する工事を行うのです。

LAN・インターネットの工事

建物・室内などに限られた範囲の中にあるコンピュータ・通信機器などをケーブルや無線で接続したローカルネットワーク工事も仕事です。

マンションやアパートのWi-Fi設置工事、光ケーブル工事、LANケーブル配線工事などが挙げられます。

テレビ電波のアンテナ設置

テレビを見るためのアンテナ設置から、ケーブルを引き込む工事を担当します。

アパート・マンションでの地デジの設定から、電波が届きづらいエリアへ電波共同受信施設の工事などを行うのです。

施設内設備機器の設置

そのほかにも、公共施設・商業施設での防犯カメラの設置、マンションでのインターホンの設置、病院のナースコールの設置なども業務として挙げられます。

電気通信主任技術者試験について

次に、電気通信主任技術者試験について触れながら解説します。

電気通信主任技術者試験の受験資格

電気通信主任技術者試験には、受験資格はありません。

年齢制限もないことから、何歳でも誰でも受けることが可能な試験です。

電気通信主任技術者試験の試験日

試験日は1年に2回設定されています。

1回目

・受験受付:4月

・筆記試験:7月

2回目

・受験受付:10月

・筆記試験:1月

電気通信主任技術者試験の合格率

電気通信主任技術者は、今後訪れる情報ネットワークの高度化時代を支える電気通信のプロフェッショナルです。

近年の合格率は伝送交換が25〜30%、線路が30%前後で推移しています。

電気通信分野における国家資格の中では、1,2を争う高難易度と言えるでしょう。

2021年より「専門的能力」科目が廃止され3科目に

2021年4月より、電気通信主任技術者の試験科目が3科目に変更されています。

具体的な変更点としては、「専門的能力」が「設備及び設備管理」に統合されたことで3科目になりました。

3科目になったものの勉強する範囲には大きな変更はありませんので、注意しましょう。

電気通信主任技術者試験は何年分の過去問を対策するべきか

電気通信主任技術者試験への合格を狙う場合に、何年分の過去問題を解く必要があるのでしょうか?

具体的な根拠も混じえながら解説します。

過去5年分を解けるとベスト

結論からお話しすれば「過去5年分(10回分)」を解けるとベストです。

5年前以上の過去問題になると電気通信技術そのものが少し古くなってしまうため今後受ける試験に出題される可能性が低くなることが予想されます。

このことから「過去5年(10回)」程度が対策として最大の効果が得やすいでしょう。

過去問題はあくまで傾向分析として利用する

電気通信主任技術者の過去問題を解くうえて大切な点は、「傾向分析」として利用することが前提であることです。

理由としては、電気通信主任技術者試験の問題は過去問題がそのまま出題されることがありません。

つまり、過去問題は「どのような問題が出題されるのか」「深く意味を問われる単語はどのようなものか」などに着目しながら解くことが求められます。

電気通信主任技術者試験の具体的な勉強法とは?

最後に電気通信主任技術者試験の具体的な勉強法について解説します。

単語は暗記ではなく、どのように使われるかを理解する

試験合格までに押さえておくべき単語が、どう使われるのかを理解することが合格への近道です。

過去問題を多く解きながら、理解を深めることがおすすめと言えるでしょう。

SNSなどを利用して合格者の話を聞く

実際に合格を掴み取った方の体験談は合格を目指す上で、とても貴重な意見になります。

「どのような勉強で合格できたか?」「もっとこうしておけばよかったと思うこと」などヒアリングできれば合格に近づくことができるでしょう。

100点満点中6割が合格率であることを頭に入れる

電気通信主任技術者試験の合格ラインは100点満点中6割正答で合格と言われています。

自身の苦手分野・得点配分などを頭に入れながら「どのジャンルに力を入れるべきか」を戦略的に考えることが大切です。

法規分野は暗記が必須になる

電気通信主任技術者試験における法規分野については、どうしても暗記が必要なジャンルとなります。

全てを覚えることは時間制約があり難しい方は、過去問題を解きながら「どの部分を厚めに対策するべきか」を分析して勉強することが大切です。

試験に慣れることも大切な要素

もしも試験に合格しなかった場合は、「試験慣れしていなかった」というのも原因として挙げられます。

問題に掛ける時間配分・思いのほか問題が難しいという焦りから本来の自分の力を発揮できない等も十分に考えられるでしょう。

電気通信主任技術者以外の資格試験なども意欲的に挑戦することで、緊張感の高い試験環境に慣れることも大切です。

電気通信主任技術者は難関試験!正しいステップで合格を目指そう!

ここまでは電気通信主任技術者の概要から、過去何年分の過去問を対策すれば良いかなどに触れて解説しました。

以下は本日のまとめです。

・電気通信主任技術者は、機械を利用した省人化のため需要拡大が進む

・過去問題は過去5年分対策できるとベストである

・過去問題の回答をそのまま覚えるのではなく「傾向分析」として利用する

さまざまな対策がありますが、最終的には「電気通信主任技術者に絶対に合格する意欲」が一番求められます。

後悔しないように勉強を行って、試験合格を掴みましょう。

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