「電気通信主任技術者と電気主任技術者とは | それぞれの違いや試験難易度、詳しい仕事内容まで徹底解説」~2020年度2021年度の合格率も~

電気通信主任技術者と電気主任技術者の違いや試験難易度、仕事内容を簡潔にまとめています。転職や資格保有を検討している方はぜひお読みください。

電気に関わる仕事をしていたり、電気業界への転職を考えている方でしたら聞いたことがある方も多いのではないのでしょうか?「電気通信主任技術者と電気主任技術者は何が違うの?」「具体的にはどんな仕事内容なの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

この記事では、電気通信主任技術者と電気主任技術者の違いや、試験難易度、詳しい仕事内容、就職先の例などを簡単にご紹介いたします!

『電気通信主任技術者』と『電気主任技術者』の違い

言葉の通りにはなりますが、電気通信主任技術者は「電気通信」工事の監督をするのに対して、電気主任技術者は「電気」工事の監督をします。簡単に言うと、電気通信工事は電話やテレビ、インターネットなどの情報通信設備の工事のことを言います。電気工事はビルや工場、商店、一般住宅などでのコンセントやシーケンスやブレーカー、配線などの電気設備の工事のことを言います。

電気通信主任技術者は「電気通信ネットワークの工事、維持及び運用の監督責任者」です。電気主任技術者は業務内容によって「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の二つに分かれています。伝送交換主任技術者は伝送交換設備及びこれに付属する設備の工事、維時及び運用ができます。線路主任技術者は線路設備及びこれらに付属する設備の工事、維持及び運用ができます。

一方で電気主任技術者は「事業用電気工作物の工事、維持及び運用の監督責任者」です。電気主任技術者は「第一種」と「第二種」、「第三種」に分かれており、取り扱える電圧が異なります。第一種はすべての事業用電気工作物を取り扱えるのに対して、第二種は電圧が17万ボルト未満、第三種は5万ボルト未満となっています。

電気通信主任技術者試験と電気主任技術者試験の受験資格や難易度は?

続いて、電気通信主任技術者試験と電気主任技術者試験の受験資格や難易度を見ていきたいと思います。

受験資格と科目合格

電気通信主任技術者試験と電気主任技術者試験は両方とも実務経験や学歴といった規制は存在せず、誰にでも受験資格が与えられます。また、両方とも科目合格というものがあります。全科目合格することによって、それぞれ電気通信主任技術者試験や電気主任技術者試験の合格となりますが、一部の科目だけ合格した場合は科目合格となります。科目合格したものは、翌年及び翌々年度の試験では申請によりその科目が免除されます。つまり、3年間で全科目の試験に合格すれば試験に合格したとみなされます。(後述していますが、第一種・第二種電気主任技術者は二次試験があります。)

受験科目と合格点、合格率

電気通信主任技術者の試験科目は「電気通信システム」と「設備及び設備管理」、「法規」の3科目になります。「電気通信システム」と「法規」は100点満中60点以上で合格、「設備及び設備管理」は150点満点中90点以上で合格になります。試験はマークシート式で行われます。一定の資格または実務経験を有する場合には、申請により免除される科目があります。

電気通信主任技術者試験合格率は、2020年度2回目28.9%(科目合格率は65.8%)、2021年度1回目50.9%(科目合格率は60.6%)、2021年度2回目36.3%(科目合格率は53.2%)となっております。(2020年度1回目は新型コロナ感染拡大の影響により中止。)これは伝送交換主任技術者と線路主任技術者を合わせた全体の合格率となっております。ここ最近で一番合格率が低いときが28.9%で、一番高いときが50.9%あり、差が22%もあります。一概には言えませんが、試験難易度は受験する回によって大きく異なることも考えられるので、運の要素もあるかもしれませんね。

電気通信主任技術者試験合格率推移表

 2020年度2回目2021年度1回目2021年度2回目
合格率(科目合格率)28.9%(65.8%)50.9%(60.6%)36.3%(53.2%)

電気主任技術者の試験科目は「理論」と「電力」、「機械」、「法規」の4科目となっており、それぞれ100点満点で60点以上が合格となります。ただ科目間調整が入り、基準点が少し上下する場合があります。試験後に正確な合格基準点が決定します。そのため60点以下でも諦めずに合格発表を待ってみてください。基本的には下方修正をされることしかないと思うので、60点以上の方は安心して大丈夫だと思います。

第一種と第二種は一次試験(マークシート式)に加えて二次試験(記述式)があり、試験科目は「電力・管理」と「機械・制御」の2科目になります。一次試験と同じように100点満点中60点以上が合格の目安となります。二次試験は、科目別合格制度はありませんが、一次試験合格年度に不合格でも翌年度は一次試験が免除されます。そのため二次試験は2年間のチャンスということになります。

第三種電気主任技術者の合格率は2020年度9.8%(科目合格率は28.9%)、2021年度は11.5%(科目合格率は32.5%)になります。

第二種電気主任技術者の一次試験合格率は2020年度27.1%(科目合格率は48.9%)で二次試験合格率は27.9%、2021年度は一次試験合格率が25.7%(科目合格率は45.7%)で二次試験合格率は17.1%になります。

第一種電気主任技術者の一次試験合格率は2020年度50.3%(科目合格率は42.3%)で二次試験合格率は14.3%、2021年度は一次試験合格率が30.9%(科目合格率は46.9%)で二次試験合格率は8.0%になります。

第三種電気主任技術者試験合格率推移表

 2020年度2021年度
合格率(科目合格率)9.8%(28.9%)11.5%(32.5%)

ここまでそれぞれの受験科目や合格率を見てきましたが、いかがだったでしょうか?合格率だけを見ると、電気主任技術者試験合格の方が難易度の高い資格と言えます。どちらも難易度の高い資格とは言えますが、科目合格という制度があるため計画的に勉強をしていけば合格できる可能性のある資格ではありますので、目指す方は諦めずに頑張ってください。特に第一種・第二種電気主任技術者は特に難易度が高いので、第三種を取得してから必要であれば、第一種・第二種の取得を検討した方がいいかもしれません。

どういった仕事内容なのか?

電気通信主任技術者の主な業務は電気通信設備管理や点検作業などになります。無線LANシステムや高速通信の通信設備の建設工事の維持運用の管理、無線機据付や調整、試運転などの監督業務、電波測定・調査・エリア分析、ワイヤレス通信品質の最適化・移動体及び固定系通信設備の監督・運用などが挙げられます。

電気主任技術者の主な業務は電気設備管理や点検作業などになります。簡単に言うと、電気設備の故障や異常を発見して、工事や停電作業の保安監督を行うことになります。電流値や電圧値の確認や絶縁抵抗測定、配線の異常がないかの確認、非常用発電機の点検などが挙げられます。

よく電気工事士と勘違いされる方もいますが、電気工事士は実際に工事を作業するための資格です。それに対して電気主任技術者は保安のために管理をする資格になります。

どんな就職先があるの?

電気通信事業者は、事業用電気通信設備を総務省令で定める技術基準に適合するために電気通信主任技術者を選任しなければなりません。原則として、直接管理する事業場ごとになりますが、多数の事業場が地理的にも組織的にも近接している場合は、一定の範囲内の他の事業場の設備もあわせて監督ができることになっています。そのため多くの場合は各都道府県に電気通信主任技術者を一人選任すればいいので、それほど人数が必要ではないので求人が少ないのが現状になります。ですが、KDDIやNTT、ソフトバンクなどの大手企業の電気通信主任技術者として就職することができれば、仕事も安定しており年々待遇もよくなることが期待できるため、そういったことを目標としている方にはおすすめの資格になります。

電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務付けられています。工場やホテル、大学、商業施設など、電気を使っている施設では必要な資格になります。また、電気主任技術者は慢性的に人材が不足しています。経済産業省の実態調査によると、第三種電気主任技術者は、2045年に想定需要に対して4千人程度不足すると言われています。そのため電気主任技術者の就職先は多岐にわたり、求人が多いのが特徴となっています。そのため就職先は自分にあった企業を選びやすいので汎用性が高い資格とも言えます。

まとめ

今回は『電気通信主任技術者』と『電気主任技術者』について簡単にご説明させていただきました。電気通信主任技術者は電気主任技術者に比べると、求人が少ないため転職にはあまり向かない資格にはなりますが、電気通信の大手企業の電気通信主任技術者になることができれば安定して待遇の良い環境で働くことができる可能性がありますので、そういったことを目標としている方にはおすすめの資格になります。一方で電気主任技術者は電気通信主任技術者に比べると、求人が多いため転職にも向く資格だと思います。また、これから需要に対して電気主任技術者が不足していく傾向なので、おすすめの資格になります。試験の難易度は高いですが、第三種電気主任技術者から科目合格でもいいので、合格を目指して勉強してみたらいかがでしょうか。最後にはなりますが、この記事で読んだ情報が、是非あなたのお役に立てることを祈っています。

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