特別な資格を持っているわけではないけど、給料(時給)が高いところで働きたい。
働く時間に制約があるので、残業などがなく、決まった時間で働きたい。
このような条件で仕事を探していると、まず候補に上がるのはコールセンターの仕事です。コールセンターは一般事務職や販売職などと比べて給料(時給)は高く設定されている求人が多く、シフトが決まっていて短時間勤務も可能な場合もあります。
一方でコールセンターは離職率が高く、ストレスがかかる厳しい仕事だという話をよく聞く職種です。
また、コールセンター業務といっても様々な仕事内容がある中で、通信販売に関するコールセンターの仕事は受注受付業務に限られることが多いため、「コールセンターは比較的楽だ」という印象を持たれている方も多いようです。
そこで今回は、コールセンター業務の中での通信販売に関わる仕事内容について考察してみたいと思います。
通販の受注受付業務(コールセンター)とはどのような仕事?
そもそも通信販売業界でのコールセンター業務とはどのような仕事なのでしょうか。
お客様から何らかの方法で受注情報を得て、それを販売管理システムへデータを入力(またはデータの取り込み)し、倉庫や工場へ出荷指示を掛け、発送の手配をする一連の業務を指しています。
上記の業務を電話で行うのがコールセンターでの仕事内容です。お客様から聞いた情報を正しく聞き取り、パソコンなどに正しく情報を入力することで、商品が間違いなく発送されることとなります。
一社専属であればコールセンター業務の流れは一つで済みますが、複数の会社の受発注を請け負う総合受付センターの場合、それぞれ違う方式で受注受付を行っているので、間違えないように注意する必要があり、緊張感が増し、ストレスがかかるということになります。
通販の受注受付業務(コールセンター)の5つの特徴
ここでは、通販の受注受付業務(コールセンター)の5つの特徴を紹介します。
作業の持続力が必要
TV通販をご覧になったことがある方であれば、プレゼンテーターの下記のようなコメントを聞いたことがあるのではないでしょうか。
「今から1時間だけ、この特別価格で販売します」
通信販売会社は過去の実績を参考に、かかってくるであろう電話の本数を予想し、コールセンターに受注受付の人数を確保するわけですが、それでも間に合わない数の電話がコールセンターにかかってくることは少なくありません。
その場合、1時間とか2時間とか、その決まった時間の間、ずっと電話を受け続けてミスなく作業をこなす必要があります。
特に就業時間が短い仕事の場合、負荷のかかる時間帯のみで募集が出ていることが多いので、その点は理解したうえで応募することをお薦めします。
もちろん、仕事に集中した時間はあっという間に経過していきますので、充実した時間を過ごすことができるメリットもあります。
短時間のアルバイト勤務にも向いている
キャンペーンを実施している時間帯に電話が殺到する可能性が高いです。一方で、ピークの時間が明確になっているのでコールセンターでの受注受付業務は、短時間しか働けない方のアルバイト先に適しています。
いくら忙しくなっても、キャンペーンの対象時間が過ぎてしまえばコールセンターの仕事は大幅に減りますので、残業をしなければならないような場面は皆無です。
もちろんこのような状況かどうかは仕事内容にもよりますので、アルバイト先の状況をしっかりと確認してから働き始めたほうが良いでしょう。
受電業務の難易度が高くない
一般的にコールセンターの仕事は、架電(アウトバウンド)より受電(インバウンド)の方が難しいと言われています。
まずは一般的なコールセンター業務のお話をします。
コールセンターの受電(インバウンド)業務は、電話を架けてくる対象者がどのような目的でかけてきたのか、どのような年齢・職業・性別の方なのかがわからない状態で電話対応することとなります。電話に出て対応することで、電話をかけてきた理由などを理解し、対応しなければならないため、広く深い業務知識を背景に柔軟に対応する業務スキルが求められます。
一方で、コールセンターの架電(アウトバウンド)業務は、ある目的に沿ってアプローチしたいと考えている対象者がどのような方なのかを、ある程度わかっている状況で架電することが多いので、話をする内容が特定されており、かつ伝達・勧誘が目的となります。
従って、一つの案件・キャンペーンに毎に「内容・範囲」が絞られており、決められたトークスクリプトに沿って業務を進めるため、覚えることが少なく初心者向きと言えます。しかし、架電する相手が求めている内容ではないことも多く、ぞんざいに扱われたり、怒鳴られたりというケースが発生しやすいというデメリットもあります。
では、通信販売のコールセンター業務はどうなのでしょうか。
多くの場合が一つの案件・キャンペーンに限られていることが多く、かつ架電してきている相手のほとんどは商品の購入が目的であるため、覚えることや理解しておかなければならないことが少ないことは、他の受電(インバウンド)業務と比べると難易度は低いと言えます。
しかし、商品に対する質問に回答しなければならなかったり、過去に購入した商品に対してのクレームが来たりという可能性は否めません。
クレーマーへの対応は熟練の社員が代わりに行ってくれることが多いですが、自分が対応すべき範囲は職場によって様々ですので、やはり架電(アウトバウンド)業務よりは覚えておくことや理解しておくことは多いと考えるべきです。
電話の相手は年配者や主婦のリピーターである可能性が高い
通信販売の受注受付は、インターネット上で申し込みができるようなしくみになっている場合が多い中で、コールセンターに電話で注文してくる人というのは年配の方である可能性は非常に高いです。
耳が遠い方であったり、商品に対して勘違いをしていたりといった可能性が高く、そのためにわかりやすくはっきりとした対応が求められます。
また、リピーターが多いということも通信販売の大きな特徴です。例えばTVショッピングですと、視聴者の9割が女性で半数以上が60歳代、ジュエリーなど分野によっては10年以上のリピーターが半数以上ということもあるようです。
電話での対応ですので相手が見えない状態での対応となりますが、通信販売の受電は特に常連のお得意様と接しているという気持ちで接客する必要があります。
覚えなければならない法律がある
世の中にある仕事のほとんどは、その業務を行う上で守らなければならない法律の上になりたっています。従って、通信販売業を行う場合もその例外ではありません。
ビジネスを企画する役割ではありませんので、全てを深く理解しておく必要はありませんが、販売に関する部分の法律は理解しておく必要があります。
例えば、世間に広く認知されている「クーリングオフ」制度に関して、通信販売は適用されません。2009年に法改正が行われ、広告で返品に関する規定が明示されていない場合(返品特約事項表示義務違反)はクーリングオフに準じた制度が導入されました。
通信販売によって商品を購入する際に、返品に関する特約が伝えられなかったり、広告に明示されなかった場合は、商品を受け取った日から起算(受けた当日が1日目)して8日以内は契約の撤回ができるという内容です。
また、分割払いの場合には割賦販売法の適用を受けることになります。
このように、販売をする際にはいくつかの法律が関わってきますので、コールセンターに架電してきた方から返品や支払いについての質問に対して回答する際、法律を正しく理解しておけば、対応を間違えることはありません。
仕事内容にもよりますが、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や特定商取引に関する法律(特定商取引法)などの理解も必要な場合もあります。
このようなお話をすると、何やら面倒なので止めようかなと思われるかもしれませんが、通信販売以外の分野でもそれぞれの法律があり、仕事をする上では最低限の法律を理解する必要がありますので、コールセンターの受電(インバウンド)業務では避けては通れないとお考え下さい。
コールセンターのインバウンドにチャレンジするメリットとは?
受電(インバウンド)のコールセンター業務には商品知識、法律知識などといった幅広い知識と、架電してきた方が何を求めているのかを感じ取り、柔軟な対応をすることが求められます。
従って、研修を受けて知識量を増やしていくことも多くなります。未経験からコールセンター業務を身に着けるのであれば、基礎からしっかりと教えてくれるという意味では受電(インバウンド)から始めてみるのは良いです。
将来的にスーパーバイザーやコーディネーターなどといった、コールセンター業務内でのキャリアアップを目指すのであれば、受電(インバウンド)での経験は必須です。柔軟で幅広い業務スキルが求められる受電(インバウンド)業務を経験する入り口としては、受注業務に特化した通信販売業界での業務は最適だといえるでしょう。
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まとめ
通信販売業界での受注受付におけるコールセンター業務についていろいろと考察してきましたが、「他のコールセンター業務と比べて楽だ」という理由では選ばない方が良いということがわかってきました。
しかしそれは一方で、受電(インバウンド)業務のノウハウや法律などの知識、リピーターへの対応方法、業務への集中力など様々な専門知識を得ることができます。
特別な資格は持っていなくても、特別なスキルと経験を積むことができるのが通信販売業界での受注受付におけるコールセンター業務です。
受注受付は業務が限定されているので、受電(インバウンド)業務にチャレンジする取り掛かりとしては最適です。
一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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