アポインターとは?企業経営のなかでアポインターが必要になる5つの理由

企業の成長のために、最も重要であるといえるのが新規顧客開拓ではないでしょうか。

資料請求や自社でのセミナー参加者にアプローチをするインバウンド型の営業ももちろん大切ですが、電話営業や訪問営業などのアウトバウンド型の営業も、新規顧客開拓には必要不可欠です。

なぜならアウトバウンド営業であれば、これまで関わりのない顧客にも、直接自社の商品を紹介することができるからです。

そこでこちらの記事では、アウトバウンド型の営業を取り入れるためにアポインターの起用を検討されている方に向けて、アポインターの必要性や役割をご紹介します。

アポインターとは?

アポインターとは個人や法人に電話を掛けて自社の製品やサービスを紹介するお仕事です。

そのアポインターは、大まかに2種類に分けることができます。

1つめは、電話口で契約まで行うパターン。

主に個人宅に電話を掛けて、保険やネット回線、化粧品やサプリメントの通信販売を行う場合は、電話口で完結することが多いです。

2つめは、訪問日時の約束を取り付けるパターン。

こちらは個人に向けてもありますが、主に法人に向けて電話で自社の製品やサービスを紹介して、訪問日時の約束をして、後日別の営業担当が直接営業に行くという流れになります。

アポインターが企業で必要とされる理由

なぜ新規顧客開拓のためにインバウンド型の営業だけでなく、アポインターによるアウトバウンド型の営業が必要なのでしょうか。

ここからは、アウトバウンド型の営業活動が必要な理由と、なぜアポインターを起用する必要があるのかについてお伝えしていきます。

webと違い企業から主体的にアプローチできる

電話営業のようなアウトバウンド型の営業は、顧客からのアクションを待つことなく、企業側が顧客を選んで主体的にアプローチできるというメリットがあります。

Webで広告を打ち出したり、セミナーを開催して顧客を集めたりする場合、顧客からのアクションを待つことが必要です。

そのため、広告の内容やセミナーの内容に顧客が興味を持たなかった場合、費用対効果が低くなってしまいます。

一方で、顧客のアクションを待たなければいけないインバウンド型の営業に比べて、アウトバウンド型の営業は、企業側から積極的に営業活動を行うことができます。

また、企業側が顧客を選択した上でアプローチすることができるため、見込みの低い顧客とコミュニケーションを取る機会を減らすことが可能です。

飛び込み営業よりも効率的な営業ができる

飛び込み営業はアウトバウンド型の営業で、新規顧客開拓の方法としても一般的です。

視覚からの情報は大変印象に残るため、個人・法人問わず、直接対面でコミュニケーションを取ることで、顧客の記憶に残る可能性が高くなります。

しかし、飛び込み営業にはデメリットもあります。

例えば、

  • 移動時間が取られる
  • 交通費がかかる
  • 受付で断られてしまい担当者と顔を合わせられない(法人の場合)
  • タイミングが悪いと対応してもらえない
  • 見込み客と話せる確率が低い
  • ストレスにより営業マンの離職率が高くなる

などです。

一方で、電話でアポイントを取り付ける業務は、移動時間も交通費もかからないためコストが低くなります。

もちろん電話代はかかりますが、営業支援システムなどを導入することで、アポインター1人あたり月額1万円~2万円で済ませることが可能です。

受付で断られてしまったり、タイミングが悪いと対応してもらえないのは電話営業も同様ですが、もし断られても、電話を切ってすぐに別の営業先に電話を掛けることが出来るので、飛び込み営業よりも効率が良く、見込み客に出会える可能性も高くなります。

顧客と密な関係をきずける

一般的に飛び込み営業だと、まず顧客の不信感を取り除くところからはじめなければなりません。

そのため、1度目の訪問で不信感を完全に取り除くことは難しく、成約に至るまでも時間がかかってしまいます。

しかし、電話でアポイントを取った上で営業マンが訪問する場合は、事前にお客様のニーズや予算、時期等をヒアリングした上で準備してから訪問可能です。

また事前に電話でアポイントを取ることで、割いてもらえる時間も明確なため余裕を持ってコミュニケーションを取ることができます。

そういった対応をすることで、顧客が不信感を抱くことなく、信頼関係を築きやすくなります。

顧客と密な関係を築くことで、1度目の訪問で成約に至ることはもちろん、時期的にすぐではなくとも必要になったときに自社のサービスや製品を利用してもらえる可能性が高くなります。

マニュアルを用意することでノウハウが属人化しにくい

ここまで、事前に電話でアポイントを取ることのメリットをお伝えしてきましたが、電話でのアポイント取得は誰にでもできることなのでしょうか。

営業マンのようにすぐに顧客と信頼関係を築き、契約してもらうにはマニュアル通りに進めてもうまくいかないことがほとんどで、失敗と成功を繰り返して実績を積むことで契約が取れるようになるのが一般的です。

そのため、個人の力量に左右されやすい業務といえるでしょう。

しかし電話でのアポイント取得業務は、スクリプトやQ&Aを用意して、マニュアル通りに話をすればアポイントが全く取れないということはありません。

企業としてこれまでアウトバウンド型の営業をしてきていない場合は、基本のスクリプトを作成した上で、アポインターと情報を共有しながらより良いマニュアルを作っていくことで、個人の力量に左右されない業務をすることが可能です。

また、マニュアル化されていない業務は、一対一の長期的なサポートが必要となりますが、電話でのアポイント業務のようにノウハウが属人化されていない業務の場合は、複数人のアポインターを1人で管理することも可能です。

こういった個人の力量に左右されにくい電話でのアポイント取得業務をアポインターに任せることで、営業マンが顧客との直接的なコミュニケーションに集中することができ、成約率を上げることにも繋がります。

アポインターの企業のなかでの役割とは?

アポインターは電話口で契約まで行う場合においても、事前に電話で営業の約束を取り付ける場合においても、新規顧客を獲得するための重要な役割を担っています。

そこで、ここではアポインターのなかでも企業のなかでの役割についてお伝えします。

クローザー

アポインターは電話口で顧客のニーズや予算などを聞いた上で、自社の製品やサービスを簡単に紹介し、詳しい話を聞いてもらうための約束をするのが基本的な業務です。

しかしいくらアポインターが電話口で顧客の情報を聞き出しても、実際に商談する営業マンに情報を伝えられなければ、せっかくのアポイントも台無しになってしまいます。

そのため、アポイントを取るアポインターと、商談を行う営業マンとでチームを組んで営業活動をするのが一般的です。

その中で実際に顧客と商談をして契約を結ぶのがクローザーの役割になります。

アポインターはアポイントを取った際に、日時や場所などの基本的な情報以外に、少なくとも以下の5つを伝えることが重要です。

  • 導入検討か情報収集か(熱量)
  • 顧客の課題
  • いつまでにその課題を解決したいか(時期)
  • 予算
  • 担当者の情報(電話口から分かる雰囲気など)

このようにクローザーとアポインターとがしっかりとコミュニケーションを取ることで、成約率も高くなります。

セコンダーとは?

セコンダーとは、アポイント獲得率が高いアポインターのことを指します。

企業が新規顧客を獲得するために、高確率でアポイントを取得できるセコンダーは最も重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

もちろん企業としては、全てのアポインターが高確率でアポイントを取得できるに越したことはありませんが、新人で慣れていない場合や、アポイント取得率が低いアポインターも中にはいます。

クローザーとアポインターとでチームを組むとき、アポインターの実力のバランスを取ることが重要になってきます。

  • アポイント取得率の高いアポインター3人とクローザー1人…クローザー不足
  • アポイント取得率の低いアポインター3人とクローザー1人…アポイント不足

上記のようにクローザーが不足したりアポイントが不足したりすることがないように、チームを編成する必要があります。

サードとは?

サードは、新人のアポインターや、アポイント取得率が低いアポインターのこと指します。

クローザーとセコンダーと共にチームとして業務を行うことが多いです。

セコンダーは一流アポインターとして扱われ、セコンドのポジションを与えられることで責任感をもって取り組める方がほとんど。

その一方で、サードのポジションのアポインターが自信を失くしてしまったり、なんとなく業務に取り組んでしまったりすることを防ぐためにも、やはりバランスの良いチーム編成が必要不可欠です。

実力に応じたチームを編成は、アポインターの育成にも影響を与えます。

具体的には以下のようなメリットがあります。

  • チームとして動くことで、チーム全体の士気が高まる
  • セコンダーが責任感をもって業務に取り組める
  • セコンダーがサードにアドバイスをする/セコンダーの営業トークをサードが踏襲することで、サードのアポイント獲得率も上がる
  • サードを教育することで、セコンダーもアポインターとして成長できる
  • セコンダーとサードのアポイント獲得率が上がることで成約率も高くなる

もちろん、アポインターがアポイント獲得率を上げるためには、クローザーとの密なコミュニケーションや、クローザーの成約率も重要ですが、アポインターがアポイントを取得しないことには新規顧客の獲得には繋がりません。

優秀なアポインターの5つの特徴

ここではアポインターの管理・育成担当の方やクローザー、行き詰まっているアポインターの方向けに、優秀なアポインターの特徴を5つご紹介します。

ぜひアポインターの育成にお役立てください。

相手のニーズを汲み取ることができる

まず最も重要なのはヒアリング力です。

いくら自社の製品やサービスが優れていても、ただ紹介するだけでは「うちは結構です」と断られてしまい、そこから会話を広げることも困難です。

しかしだからといって、突然電話をして「何かお困りのことはないですか?」と伺っても答えてもらえないことがほとんどでしょう。

では、どのようなアプローチをしたら、顧客のニーズを汲み取ることができるのでしょうか。

初めての電話で、顧客の課題を引き出すためには以下の順で進めていくのがおすすめです。

  • 不信感を取り除くために簡単に自社の紹介をする

認知度が高い企業であれば企業名を伝えただけでどのような会社か、相手にイメージさせることが可能ですが、そうでなければ怪しいと思われて仕方ありません。
しかし、「○○の代理店をしている」「○○についてのコンサルティングをしている」「○○を販売している」など、簡単に自社の紹介をすることで、相手の不信感を取り除くことに繋がります。

  • 自社の扱う製品やサービスについて簡潔に紹介する

次に、自社の製品やサービスにどのような特徴があるのかや、現在行っているキャンペーンについて簡潔に伝えます。
こちらがどのようなサービスを提供できるのか伝えることで、相手も自社の課題に結びつけて考えやすいためです。

  • 大きなカテゴリに対して何か困っていることがないか伺う

自社の扱う製品やサービスまで伝えて、相手に断られなければ、ヒアリングに入ってみて良いでしょう。
ピンポイントで課題がないか伺っても、相手に刺さらなかった場合に会話が続かなくなってしまいます。
例えば以下のように、大きなカテゴリに言い換えてヒアリングすることは、相手の課題を引き出すことに繋がります。

ハイクラス中途採用のスカウトについて→中途採用について
自社のウェブサイトのCVR改善について→ウェブサイトについて
固定電話・インターネット回線などの通信費削減について→経費削減について

このように、自社についての紹介とヒアリングのバランスが取れているアポインターが優秀なアポインターと言えます。

製品の細部の特徴を説明できる

次に相手のニーズを汲み取った上で、ニーズに応じた製品やサービスの説明するのが大切です。

せっかく会話を続けることができても、詳しい説明をしたり質問に回答したりできなければ、アポイントの獲得に繋げるのは難しいと言えます。

そのため、優秀なアポインターはマニュアルに書いてある内容だけでなく、自社の製品やサービスについて積極的に学ぶことも必要です。

冷静に判断をすることができる

優秀なアポインターは相手のニーズに応じた説明をするために、上記のように自社の製品やサービスについて積極的に学んでいることがほとんどです。

しかしどんなに学んでいても、実際に電話口で生かせなければ意味がありません。

そのためどのような場合でも冷静に判断できるように、十分な準備をしておけるのが優秀なアポインターと言えます。

また、躍起になって無理にアポイント取得をして、クローザーが商談に行っても成約に繋がらないことも多くあります。

例えば相手のニーズを聞き出した上で時期を改めた方が良い場合は、その場で無理にアポイントを取ろうとせず、具体的に必要な時期を聞き出し、その頃にまた電話をするという手法を取る場合もあります。

このように、電話をしていても焦らず冷静な判断をするために十分に準備をしたり、目先のゴール(アポイント取得)ではなく成約のために最適な選択が出来るのが優秀なアポインターと言えます。

気持ちの切り替えが早い

アポインターをしていると、どんなに話術が優れていても高確率で断られます。

しかし断られてしまったからといって、1回1回ショックを受けて引きずっていてはアポイントを獲得することができません。

キツイ言い方をする相手もいれば、こちらの製品やサービスに興味を持って耳を傾けてくれる相手もいます。

多くの顧客に電話をかけることでアポイント獲得率も上がるので、断られてしまっても気持ちを切り替えて次の顧客に電話を掛けられるアポインターが優れたアポインターになります。

マニュアルを自分で考えてカスタマイズできる

スクリプトやマニュアルが優れていても、アポインターがスクリプトを「読んでいる」ことが伝わってしまったり、あまり理解せずに製品やサービスの説明をしていることが相手に伝わってしまうと、相手もなかなか心を開いてくれません。

相手に心を開いてもらえなければ、相手のニーズや課題を聞き出すのは難しいでしょう。

そのためアポインター自身で読みにくいと感じたスクリプトの言い方を改めたり、マニュアル通りに説明しても理解してもらえなかった内容を分かりやすく言い換えたりして、マニュアルを自分用にカスタマイズすることで、相手と円滑にコミュニケーションを取ることができます。

まとめ

優秀なアポインターを育成しアポイント業務を任せることは、新規顧客開拓の成功に直結します。

そして新規顧客の獲得に成功するということは、企業の業績アップにも繋がります。

インバウンド型の営業は常にうまくいくわけではありません。

そのため、新規顧客の開拓に行き詰まっている企業だけでなく、既にインバウンド型の営業をしている企業も、アポインターを起用してアウトバウンド型の営業を取り入れてみてはいかがですか。